エメラルド色に輝く海が広がるリゾート地として名高いサン・マロ。16世紀には敵船を襲い、荷を略奪することを合法とされた「コルセール」が活躍した。 フランス王から許可されていたため単なる海賊とは違う、というわけだが、コルセールの子孫を自認するサン・マロの人々は独立心に富み、「フランス人でもブルターニュ人でもない、自分はサン・マロ人だ」という言葉があるほど誇り高い人々。コルセールの活躍のおかげで、17世紀末にはフランス随一の港町として繁栄をきわめた。
サン・ヴァンサン大聖堂を中心とした旧市街は12世紀に築かれた城塞にぐるりと囲まれ、豪華な石造りの建物が軒を連ねる。城壁の上は散策できるので、是非上ってみたい。 潮の干満の差が非常に激しく、長い間コルセールたちはサン・マロが敵の手に渡ったことのないことを自慢したが、第二次世界大戦では街を占領したドイツ軍を撃退するため、アメリカ軍の爆撃を受けてとうとう壊滅。城塞だけが残った。戦後、瓦礫の石をひとつひとつ積み上げて街を元通りに再現したサン・マロの人びとのパワーには驚かされる。潮の流れのエネルギーを利用した世界ではじめての潮流発電所も建設された。
見どころ
- 旧市街:城壁にぐるりと囲まれた部分が旧市街。第二次世界大戦中、街の8割は破壊されたが、戦後になって崩れ落ちた歴史的建造物の石をひとつひとつにナンバリングし、忠実に復元した。その努力が並大抵のも のではなかっただろうということは、城壁を散策すると実感される。ディナン通りをはじめとする家並はとくに印象的。城壁で囲まれた要塞のようなたたずま いとは裏腹に、海に面した開放的な雰囲気に包まれている。
- 城壁/城塞:海から来る敵から街を守るために巡らされた城壁も、いまでは格好の散歩道となっている。城壁の上を一周すると満潮時にはサン・マロ生まれの作家シャトーブリアンが眠るグラン・ベ島が見える。
- サン・ヴァンサン大聖堂: 街の中心にそびえる大聖堂は11世紀の建造。現在目にできる建物の大半は戦後の復元によるものだが、12世紀から18世紀までのさまざまな建築様式が見られる。モダンな色彩のステンドグラスが目に鮮やか。
- サン・マロ歴史民族博物館:17世紀フランス最大の港だったサン・マロの発展に貢献したのが、コルセールと呼ばれる政府公認の海賊。館内には当時の船や石像などコルセールにまつわる展示があるほか、古い版画などから街の歴史が垣間見られる。
by France.fr編集部
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