エリック・バレ 植物造形家&都会の製籠師

インスピレーション

オーヴェルニュ文化・遺産

Ville de Lyon/Erik Barray
© Ville de Lyon/Erik Barray

この記事は 0 分で読めます2016年11月15日に公開

エリック・バレErik Barrayの願い、それは人間と自然の絆をつむぐことです。どうやって?籠やその芸術作品を使って« 街を編み物にする» のです。彼が長く愛用している素材は柳。柔軟で自由な形に変わる若枝は、まるで彼自身のようです!

自然に囲まれて育った子供時代

エリック・バレは、シャンパーニュ地方のペルトPerthesで誕生し、幼い頃は水のそばで育ちました。「両親が水門の監視と操作をしていたので、自分にとってその光景は静かな旅、想像の旅でした!」 周囲は最高に美しい遊び場だったので、ほどなくして彼はこの自然を観察し、その虜になり、草木を編んで物を造り、小屋を建てました。

そしてソーヌ川のマルヌ運河。この運河の終着地、リヨンに特別の愛着を持った彼は、終の棲家としてここに居を構えます。確固たる信念を持ち、籠細工技師養成学校で修業を積み、パン屋さんのためにパン入れの籠や果物籠を作るようになります。

« 籠編みアーティスト» として大きな転機となったのは1993年、おそらくLVMHグループとの出会いでしょう。「LVMHの全世界150店舗のショーウインドーの飾りを任されました。プラニングの管理を学びましたよ!」その後、長い間発見の旅を続けながら経験を積み、表現の幅を広げていきます。こうしてマダガスカルからセイシェル島、ベイルートからアリゾナと、エリック・バレはそれぞれの土地の技法に接しながら腕を磨き、その土地の文化や歴史に大きな影響を受けて、自分が置かれた環境と結びついた新しい芸術的表現を増やしていきました。「私はいつも旅をしていたいのです。それもできるだけ遠くの地を訪れる旅です。旅はいつも自分を成長させてくれますし、現地の人たちとの交流が大好きなのです!」周囲の環境に適応しながら、例えば戦争が終わったベイルートで自然のモチーフを取り入れたロウソクを作ったり、アリゾナではサボテンの編み方を習ったり、レユニオン島では組みひもで家を作ります。

最終的に、彼はリヨンを終の棲家とします。無限に広がる好奇心から庭園に注目し、素晴らしい芸術プログラムに協力して建築家や芸術家たちとコラボし、リヨンの光の祭典に参加します。

光の祭典で夢が現実に

2007年、エリック・バレと彼の仲間たちは初めてリヨンの光の祭典に参加しました。「リヨンは私の街、とても誇りに思いましたよ!」1999年に始まった年に一度のこのイベントは、19世紀に誕生した古い伝統を再現したものです。当時の宗教当局者が、フルヴィエールの丘の頂上に像を建てるためコンテストを実施しました。しかし悪天候で、日暮れ時に予定されていたオープニングが延期となり、リヨンの人たちは街を照らすために各家の窓にロウソクを灯したのです。今日、市内約80ヶ所で180人以上のアーティストがこの祭典に携わっています。

10年前、エリック・バレは植物園用にココン・ティージュCocons-Tigesというオブジェを生み出しました。とても情緒のある一種の巨大な花のオブジェを並べたもので、園内を散策する人々のお伴となりました。また2013年には、柳を巣の形に編み、中を薄く照らしたニドラムNid’lumというオブジェを木の枝から吊り下げました。「発想は、真冬の季節に光を照らすことだったのです。」翌年、こうしたコンセプトが引き継がれ、リュミリエールLumi Lierreと呼ばれる、つる植物の形の上に花型を乗せたオブジェをローヌ川沿い1.5㎞にわたって並べ、川沿いを散歩する人々を楽しませました。「私はどうしても、もともと木があった場所に戻したかったのです!もう木々を見ることがなく、それが当然のようになってしまいました。しかし木々は人間にとって必要で酸素のようなもの。この自然が芸術の源なのです! 」

2016年のプロジェクトで、彼はルイ・プラデルLouis Pradel広場に森を運んで来ました!「伐採した木から丸太を使って、森を再現しました。その木々は風に揺られて、震えるのです。」今回初めて、エリック・バレはリヨンの音響スタジオ、レ・ピロンLes Pilonsの協力を得て、音とのコラボを実現しました。「光と音の変化が、季節の移り変わりを表現しているのです!」

リヨン、私の街

街の匂いは? « 私がひいきにするお肉屋さんのブリオッシュパン»

街の音は? « 橋の下を流れる水 »

街の味は? «チョコレート» 街の景色は? « ソーヌ川の岸 »

by Rovero-Carrez Julie

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