葡萄畑に囲まれて...オテル・ラリックで過ごす一日

ボルドーエンターテイメントとナイトライフ美食とワイン

シャトー・ラフォリ・ペイラゲは、ソーテルヌ特別1級ワインを生産する、36haの葡萄畑の中に立つ。改装を経た壮麗な建築は、ボルドー地域のワイン関連建築の珠玉ともいえよう。
© Deepix - シャトー・ラフォリ・ペイラゲは、ソーテルヌ特別1級ワインを生産する、36haの葡萄畑の中に立つ。改装を経た壮麗な建築は、ボルドー地域のワイン関連建築の珠玉ともいえよう。

この記事は 0 分で読めます2019年1月27日に公開, 2024年2月6日に更新

メゾン・ラリック(Maison Lalique)が創業130周年、そしてラフォリ・ペイラゲ(Lafaurie-Peyraguey)のワイン生産が400周年を迎えるこの節目の年に、満を持してボルドーの葡萄畑にその姿を現した珠玉のホテル、オテル・ラリック(hôtel Lalique)。昨年6月のオープン早々、5つ星を獲得しました。ソーテルヌの風土、そして洗練を極めたクリスタルガラスのアートに着想を得、「ワイン」「クリスタルガラス」「美食」「ホスピタリティ」の4つの章からなる抒情詩をあなたにお届けする、極上のホテルです。

AM10:00 ルネ・ラリックの世界へようこそ

オテル・ラリックのレセプション。(シャトー・ラフォリ・ペイラゲ)
© ©Agi Simoes & Reto Guntli - オテル・ラリックのレセプション。(シャトー・ラフォリ・ペイラゲ)

ホテルに足を踏み入れた途端、そこにはルネ・ラリックの世界が広がり、彼の豊かな創造性に嘆息せざるをえません。葡萄の葉が刻みこまれたシャンデリア、ガラス彫刻を嵌め込んだ調度品の数々、クリスタルガラス製のパネル…ラリックがガラス工房を立ち上げてから1世紀以上の時を経てなお、「ガラスの詩人」「アールヌーボーの巨匠」と呼ばれた彼の魂は、新たな創作をインスパイアし続けています。オテル・ラリックはすでに2軒別の場所で展開しており、2018年6月に開業したこの3軒目となる5つ星ホテルは、すぐにルレ・エ・シャトー(Relais&Châteaux、一流のホテルやレストランが加盟する世界的なネットワーク組織 )に加盟が認められました。

AM10:15 葡萄畑を臨む客室でくつろぐ

 シャトー・ラフォリ・ペイラゲのオテル・ラリックのデラックス・ルーム。
© Agi Simoes & Reto Guntli - シャトー・ラフォリ・ペイラゲのオテル・ラリックのデラックス・ルーム。

このホテルの素晴らしさの核心は客室にあり。窓を開ければ眼下に無限に広がる葡萄畑。昼夜を問わず、私たちを心地よく包み込んでくれるかのようです。振り返って客室の内装はと見ると、繊細な葡萄の房の彫刻が施されたクリスタルガラスが、艶消し家具の一角に、柔らかなバスタオルの中に、浴室の蛇口のカボション(凸面上に磨いたクリスタルガラス) にと、部屋の至る所に嵌め込まれ、散りばめられているのです。

AM11:00 館内を探検する

シャトー・ラフォリ・ペイラゲのオテル・ラリック。
© Agi Simoes & Reto Guntli - シャトー・ラフォリ・ペイラゲのオテル・ラリック。

13世紀から受け継がれる建築に滞在できるとは、何という非日常!その喜びに加え、改修によってさらにその壮麗さを増したシャトーの建築の魅力に抗うことなんて、できそうもありません。建物の建築様式は折衷的であり、シャトーの塔は中世時代のもの。建物全体は17世紀に、東洋装飾の愛好家であったルネ・ラリックが好んだであろう、スペイン・ビザンティン様式に改築されました。

PM14:00 しばし文化的な時間を過ごす

オテル・ラリックのライブラリ―ルーム。(シャトー・ラフォリ・ペイラゲ)
© Agi Simoes & Reto Guntli - オテル・ラリックのライブラリ―ルーム。(シャトー・ラフォリ・ペイラゲ)

ルネ・ラリックとその作品に関する書籍をはじめとしたアート・ブックの数々、またソーテルヌワインやボルドーワインの歴史に関する本に囲まれて、しばし読書休憩はいかが?ライブラリールームの柔らかなソファーにゆったりと身を沈めながら、時折、本から目を上げ周囲を眺めると、ガラスケースに陳列された見事なクリスタルアートの数々が、その空間の優美さを一層引き立てるのです。

PM17:00 礼拝堂でワインの試飲

シャトー・ラフォリ・ペイラゲの礼拝堂
© Agi Simoes & Reto Guntli - シャトー・ラフォリ・ペイラゲの礼拝堂

シャトー内の17世紀の礼拝堂では、結婚式も執り行えますが、ホテルのゲストが礼拝堂に向かうとき、おおかたは結婚式が目的ではありません。ソーテルヌワインの試飲会に参加するためです!ワイン樽がずらりと並ぶ2つのカーヴの中間で、礼拝堂の祭壇の上方に見えるのはメゾン・ラリックを象徴するモチーフが刻まれたステンドグラス。ちょっとしたおつまみのアミューズをお供に、ワインをお試しあれ。

PM19:00 ワインセラーを見学

 シャトー・ラフォリ・ペイラゲのワインセラー
© Hervé Lefevbre - シャトー・ラフォリ・ペイラゲのワインセラー

ワインセラーに貯蔵されている約35万本のワインのうち、最も古いものはなんと1895年製。ドメーヌが保有するカーヴは4つあり、ボルドーワインの記録庫であるともいえます。フラスコやその他のオブジェがアート作品として展示されているワインセラーの中にあっても、シャトー・ラフォリ・ペイラゲの特別1級のソーテルヌワインが、他のボルドー産ワインとともに、その存在を強く主張しています。

PM20:00 食を彩る装飾

 シャトー・ラフォリ・ペイラゲのラリック・レストラン
© Agi Simoes & Reto Guntli - シャトー・ラフォリ・ペイラゲのラリック・レストラン

ディナーを楽しむ前に、まず堪能すべきはその装飾です。天井を見上げれば、そこにはソーテルヌワインの琥珀色を思わせる120枚の金色に輝くクリスタルで覆われた、まるで一着のドレスのような作品『シャンゼリゼ(Champs Elysées)』が。テーブルの上に目を移せば、フュルステンベルク(Fürstenberg)製の磁器の皿、クリストフル(Cristofle)のナプキンリング、『女性と葡萄』をモチーフにした、ウェルカムプレート代わりのイミテーションボトルなど、ラリックへのオマージュを感じさせる、素晴らしいクリスタルガラス作品で美しく飾り付けられています。

20:30 地産の食材を用いたディナー

 オテル・ラリックのレストランにて(シャトー・ラフォリ・ペイラゲ)
© Agi Simoes & Reto Guntli - オテル・ラリックのレストランにて(シャトー・ラフォリ・ペイラゲ)

葡萄の搾汁、ワインの澱、ハーブ入りのソーテルヌワイン…当レストランのシェフ、ジェローム・シリング(Jérôme Schilling)氏は、地産のワインにインスパイアされた、味、調理法ともに斬新かつ革新的な料理を創造することに力を注いでいます。ラフォリ・ペイラゲがご用意するコース7品それぞれに、ふさわしいグラン・クリュのソーテルヌワインを合わせ、その驚きの香りを大いにお楽しみください。

AM9:00 葡萄畑色の朝食

オテル・ラリックの朝食会場。
© Agi Simoes & Reto Guntli - オテル・ラリックの朝食会場。

クリスタルガラスの光の反射、葡萄畑に降り注ぐ柔らかな光の中で、この場所のもつ清らかで澄んだ空気を、朝食を取りつつもう一度最後に堪能しましょう。例によって、ここでも葡萄の葉の色をした肘掛け椅子や、石灰質土壌の色の床など、葡萄畑を想起させる意匠がそこここに施されているのです。

by アンヌ=クレール・ドゥロルム

旅行ジャーナリスト

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