2018年の春、ロワール渓谷のシャンボール城からたった50mの場所にホテル&レストラン「ルレ・ド・シャンボールRelais de Chambord」がオープンしました。このかつての郵便局は、田舎の別荘の雰囲気をかもしだす、シックでチャーミングな場所に生まれ変わりました。ロワール渓谷の古城の中で最も魅力的で、2019年に500周年を迎えたシャンボール城を眺める絶好のロケーションです。
9時:格別の眺め
到着早々のサプライズ!改築と増築を担当した建築家ジャン=フランソワ・ウィルモットJean-François Wilmotteのデザインによる、見事な北側のファサードが目に飛び込んできました。全て垂直のスレート色の直線で表現した彼のモダンな精神は、シャンボール城の存在感を薄めることなくお城のルネサンス建築の力強さをより一層強調しています。
9時15分:家のような落ち着き
暖炉、本棚、そして昔のじょうろのコレクション!ロビーに入っただけで、すべてのオブジェに物語が秘められた、邸宅を訪れたような印象を受けます。全てを細心の注意を払って選び抜き、セッティングしたマリー=ロール・ジュッセMarie-Laure Joussetは、この建物のオーナーの母親で、ポンピドゥー・センターにある国立近代美術館の元デザイン責任者です。
11時:森と小塔の間の一室
部屋から景色が見える、それとも見えない?私が今いるのは55の客室とスイートルームの中の一室で、ジャン・グリゾーニJean Grisoniが外側の装飾を撮ったモノクロの特大写真が、堂々と君臨しています。森を散策する前に、本物の生き生きした絵画のようにデザインされた景色のごく一部たりとも見逃すことなく、柔らかな素材と色彩で統一された快適な室内を楽しみます。
13時:"グラン・サン・ミッシェルGrand Saint Michel”のランチ
ソロ―ニュSologne地方では、フランス式アール・ド・ヴィーヴル(生きることを楽しむ生活様式)は地元の生産物にも表れています。石灰土を敷いたテラスで、この地方産の白亜石に腰掛けて、あるいはマルセル・ワンダースMarcel Wandersがプロデュースした照明が、ロマンティックな雰囲気を醸し出す洗練された美しい食堂で。シンプルでありながら味わい深い料理と、リストのメインであるロワールワインとの相性は抜群・・・贅沢な時間です。
15時:城内の敷地でサイクリング
シャンボール国立公園は面積5,440 ha、城壁の長さ32㎞、囲われた森林公園としてはヨーロッパ最大であることをご存知でしたか?敷地全体をくまなく見てまわるのは無理なので、私は自転車でひとまわりすることにしました。もちろん、景色も楽しみながらです!澄んだ空気を吸いながら、霧がかかった秋の早朝に鹿の鳴き声を聞くため、また必ずこの地を訪れようと誓いました。
17時:暖炉の一角で味わうティー
ティータイムやアペリティフには、内装に暖かみのある木材を使ったバーがぴったりです。特に暖炉の火がぱちぱちと燃えている時は最高です。暖炉には、国王フランソワ1世の紋章であったサラマンダー(火とかげ)の装飾が施され、神秘的な格言"nutrisco et extinguo"、すなわち「われ良き火を育み、われ悪しき火を滅ぼす」も刻まれています。私はやさしい暖かさに包まれて、ルネサンス期の最も美しい建築物の数々にその名を残した、この偉大な建築王の並外れた運命に思いをはせました。
18時:癒しのひととき
ロワール川沿いの生活の極上の心地よさが、ウエルネス施設に満ち満ちています。ここでは、エステダムEsthederm(フランス生まれのスキンケア用品のブランド)によるモデュラージュ(マッサージの一種)や、またハマムやサウナでリラクセーションの時間を過ごしてリフレッシュできます。この繊細な光の中で、身も心もとろけさせるには?コッソンCosson川に面した屋外にある、一風変わったジャグジーのバスタブが最高です。ルレ・ド・シャンボールのまた別の牧歌的な一面が見られます。
9時:シャンボールは私のもの
テラスでの思い出に残る朝食の時にまで、この素晴らしい一連の屋根や小尖塔、暖炉につながる煙突(何と282本)をじっと見つめていると、シャンボール城がごく身近なものになったように私には感じられました。いよいよ、レオナルド・ダ・ヴィンチが着想したとされる二重らせん階段にはじまる、お城の内部見学の時間です。ルレよ、さらば。シャンボールは私のもの!
by アンヌ=クレール・ドゥロルム
旅行ジャーナリスト