ミュールーズの町は伝説によれば、ある寒い冬の夜、粉屋の娘が傷ついた戦士を助け、その二人が結ばれたことから生まれた。ミュールーズという名前は803年に初めて歴史に登場するが、当時はミュランユソン(水車小屋)と呼ばれていた。今日も町のシンボルは、水車を表す8つの羽がついた車輪となっている。
ミュールーズは1798年にフランスに統合されるまでは、スイスの州と連合した小さな独立した共和国で、同業組合によって統治されていた。現在も歴史地区の歩行者専用ゾーンには、同業組合の名残を見ることができ、スイスとの連合を思い起こさせる遺産も数多く残る。 町の歴史にとってもう一つ重要な年号は、繊維産業が誕生した1746年。この年、町は飛躍的に発展し、ミュールーズは産業革命の町として新しく生まれ変わる。1826年以降、証券取引所広場を中心に新しい地区が建設され、ミュールーズの産業の成功を象徴するようになる。
歴史遺産に加え、現在ではスポーツや文化、大学などの施設も作られ、若々しく活力のある町ミュールーズは魅力的な生活空間を提供している。CADや通信、サービス産業など新しい産業分野も次々に誕生。恵まれた地理的条件と並はずれた通信網により、ミュールーズは企業家精神、プラグマティズム、チャレンジ能力、共通財産の保護、もてなしの伝統を組み合わせた“ミュールーズ・モデル”に基づいて、21世紀に臨んでいる。
主要な史跡・文化施設
2008年11月11日に、ミュールーズは、フランスの“芸術と歴史の町”ラベル(建築や自然や産業などの伝統を保護・活用する政策をとるフランスの自治体や地方に対し、文化相が与えるラベル)を取得した。17もの歴史建造物があるミュールーズは、アルザス地方で初めて同ラベルを取得した。
レユニオン広場: 歴史地区の中心にあり、中世期からすでに町の政治・宗教・経済の中心地だった場所。市場や縁日が開かれ、広場の両側には市内でも最古の家々が並ぶ。90年代に全面的に修復され、ヴォージュ山脈の砂岩を使った昔風の石畳も再現されている。
市役所: 1552年に建設されたライン川流域に特徴的なルネッサンス様式の傑作。ミュールーズがかつて小さな独立国だったことを象徴している。フレスコ画は1699年に地元の画家ジャン・ガブリエルによって描かれたもので、ミュールーズが連合していたスイスの州の紋章とともに、宗教改革が推奨する徳が描かれている。
サン・テチエンヌ寺院: 1858年~1868年の間に、12世紀の教会があったところに建設された。内部にはロマネスク様式の教会の中で見つかった素晴らしい14世紀のステンドグラスがあり、モチーフは3つのサイクルから成っている。最も重要なものは、88のシーンからなり、“人類の救済の鏡”と題されていて、贖罪の歴史を物語るものである。
その他、ボルウェルク塔、シナゴーグ、市立浴場など
主要なイベント
ミュールーズは、一年を通じてたくさんのイベントで賑わっている。
国際カーニバル : 2月、3月。フランス東部で最大のカーニバルの一つ。3日間にわたり3500人のカーニバリストが参加、23の山車が出るミュールーズの伝統に根ざした祭り。参加無料の庶民的な祭り。文化の多様性を大切に、自由と博愛という普遍的な価値観を共有するあらゆる人々に開かれている。
自動車フェスティバル : 7月。貴重で美しい車が、ヨーロッパの技術の都でありヴィンテージ・カーの聖地であるミュールーズの町に溢れる。3日間、車を愛する人々が、大人も子供も、町中でのパレードや様々な出し物、スペクタクルを楽しみ、素晴らしき自動車の歴史を体験する。最終日の自動車グランド・パレードで、フェスティバルは最高潮に達する。お祭り気分一杯のスペクタクル。
クリスマス市 : 11月末~12月末。独特のオーナメント、そしてこの時期のために特別に織られた生地で飾られる歴史地区で毎年開催される。歌と織物の里で、もてなしの心と光があふれるクリスマスのひとときを過ごしたい。
郷土の名産品
歴史地区には、アルザス地方で人々がワインを飲みながら食事をする場所を意味する「ヴィンシュテュブ」が沢山ある。アルザス人が大好きな賑やかな場所で、シンプルながら本物の郷土料理が食べられる。代表的な店としては、オーベルジュ・デュ・ヴィユー・ミュールーズl'Auberge du vieux Mulhouse、カーヴ・デュ・ヴィユー・クーヴァンles Caves du Vieux Couvent、セリエLe Cellier、ウインシュテュヴ・ア・レトワールWinstub à l'Etoile、オーベルジュ・ド・ラ・フェルム・デ・ダリアl'Auberge de la ferme des dahliasなど。
ヴィンシュテュブで供されるシュークルートやベックオフ、コイのフライ、フライシュネッカ(パイと肉で作る名物料理)には、アルザスワインかビールが良く合う。アニスやシナモンを使ったクリスマス菓子など、舌と鼻を楽しませる名物が沢山。
ショッピング
ミュールーズの市場: 300軒以上の商店が軒を並べる賑やかな場所。食料品のみならず、アルザスの名産品から外国の品々まで多種多様な物を販売。市場は、毎週火曜・木曜日の朝7時~夕方5時まで。毎週土曜日、祭りの前日は朝6時~夕方5時まで。カナル・クヴェーヴやフランクリン通り、アリスティード・ブリアン大通り、ルーズヴェルト大通りで開催。
高級ブティック: ヒューゴ・ボス、ブティック・エリズ、ブティック・ユナイテッド・ルジャン。グラン・マガザン・デュ・グローブは市内最古のデパートの一つ、4階にわたる売り場を誇る。
パティシエ・ジャック La pâtisserie Jacques:チョコレートとアイスクリームの店。
近郊のみどころ
バーゼル 豊かな文化と歴史にイベントで知られる町。ミュールーズから35㎞。レジャーや娯楽の楽しみのほか、美術館も有名。ミュールーズ駅から電車で20分。
コルマール 歴史地区の絵のような水路と路地が可愛い町。ミュールーズ駅から電車でアクセス可能。
オー・クニクスブール城 15世紀の要塞の姿を今に残す城。セレスタまで電車で行き、城行きのシャトルバスに乗り換え。
シャルル・ド・ゴール空港からのアクセス
飛行機の****場合: パリのシャルル・ドゴール空港、オルリー空港から、バール・ミュールーズ空港まで直行の定期便あり。所要約1時間。
鉄道の場合: パリの東駅からは直行のTGV線でミュールーズまで3時間。2011年12月にはTGVライン・ローヌ線が開通予定で、2時間40分に短縮される。シャルル・ドゴール空港からTGV線に乗った場合は所要約3時間42分(ストラスブール乗り換え)。
by France.fr編集部
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