5分でわかるプロヴァンスのクリスマス

プロヴァンススピリチュアルエンターテイメントとナイトライフ家族で

Mike Fouque / Adobe Stock
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この記事は 0 分で読めます2019年12月23日に公開, 2022年10月25日に更新

プロヴァンス地方には、「聖バルバラの麦」やクレッシュ(キリスト生誕の場面を再現した模型)、13種類のデザートが出される「グロ・スペ」と呼ばれる食事など、キリスト教の信仰から生まれた郷土色あふれるクリスマスの伝統が根づいています。クリスマスのお祝いを魔法の光で包む、さまざまな習慣をご紹介します。

聖バルバラの麦

Nitr / Adobe Stock
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聖バルバラは鉱夫や花火職人の守護聖人で、12月4日を記念日としています。一見、穀物を発芽させるプロファンスの伝統とは何の関係もなさそうですが、プロヴァンスではこの聖バルバラの日に、水に浸したコットンを敷いた3つの小鉢に小麦などの穀物をまきます。

毎日水をやると、12月24日には緑の新芽が出るので、それによって翌年の幸運を占います。異教の時代には、これで収穫の豊凶を占っていました。今日では、12月24日まで子供たちが辛抱づよく待てるようにするための気の利いた方法でもあります。

お祝いのサントン人形

Jacky Jeannet / Adobe Stock
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サントン人形は粘土でできた小さな人形で、あるマルセイユ人が完成させたものです。その歴史は、初めてマルセイユでサントン人形の市が開かれた1803年にさかのぼります。「小さな聖人」という意味のサントン人形は、キリスト生誕場面を再現した模型「クレッシュ」にすぐに取り入れられました。

聖母や聖ヨセフ、ロバ、牛、羊飼いと羊、魚売りなど、キリスト教の人物とプロヴァンスの田園地帯の職業を表す人物や、人々を馬小屋へ導く天使ブファルなどの人形があります。

オーバーニュなどのサントン人形の作り手たちの技術は、プロヴァンス地方伝統のクリスマスマーケットであるサントン人形市で輝きを放っています。歴史あるこの市の本場は、今でもマルセイユです。

クレッシュあるいはプロヴァンスのミニチュア

Mike Fouque / Adobe Stock
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取ってきたばかりのコケで地中海地方の乾燥地帯ガリッグを表し、タイムの小枝でオリーブの木を、アルミ箔で川を、という具合に、クリスマスが近づくと各家庭ではクレッシュづくりが始まります。家庭ごとに自分たちだけのやり方があり、プロヴァンス地方のミニチュアを背景としたキリスト生誕の場面をサントン人形で表現します。幼子イエスが馬小屋の中に置かれるのは12月24日の真夜中過ぎ。贈り物を持ってくる東方三博士人形が登場するのは、1月6日の公現祭です。

伝統的に、クレッシュはイエスが聖マリアと聖ヨセフによってエルサレムの神殿に連れて来られた日を記念する祝日である2月2日の主の奉献の祝日に片付けることになっています。クレッシュを飾るのはプロヴァンス地方だけではありませんが、プロヴァンスのクリスマスになくてはならないものです。

12月24日のディナー「グロ・スペ」

banderob1962 / Adobe Stock
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「グロ・スペ」とは「豪勢な夜食」という意味ですが、伝統的には肉を使わない質素な料理が出されます。そんな食事はクリスマスのディナーと呼ぶのにふさわしくないでしょうか? それでも、3〜6、7皿が出るので、たっぷりとした量があります。

伝統的なメニューでは、エスカルゴやタラ、ボラ、アーティチョークに似たカルドンという野菜やセロリがよく使われます。テーブルセッティングにはいくつかの決まりがあり、三位一体を表す3つの白いナプキンと、聖バルバラの麦の小鉢を置き、食事の初めから13種類のデザートを出しておくことになっています。

13種類のデザート

13種類のデザートはプロヴァンスのクリスマスにはなくてはならないもので、13という数はキリストと12使途を象徴しています。何を出すかは厳密に決まっているわけではありませんが、清貧の誓いを立てた4つの托鉢修道会を表す「キャトル・マンディアン」(干しイチジク、干しブドウ、アーモンド、クルミの4種類のドライフルーツの取り合わせ)、デーツ、白ヌガーと黒ヌガー、ジバシエ(プロヴァンス地方の甘い焼き菓子)またはポンプ・ア・リュイル(オリーブオイルを混ぜ込んだブリオッシュ)は欠かせません。このほかにエクス・アン・プロヴァンスのカリソンやマルセイユのナヴェットなどの地方菓子、ブドウやミカンなどのフレッシュフルーツ、果物のコンフィ、マルメロのゼリーなどもよく出ます。

羊飼いの捧げ物

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農村部や伝統が強く残る地域では、今でも深夜ミサの際に「パストラージュ」の儀式がおこなわれます。子羊の出産シーズン真っ最中のこの時期、羊飼いたちの行列が、ガルベという民俗楽器と太鼓の音に合わせ、生まれたばかりの子羊を司祭と参列者に披露しに来ます。子羊はろうそくが灯された小さな台車で運ばれてきます。この儀式はサン・マルタン・ド・クローなどでは、1月におこなわれます。

クリスマス劇「パストラル」

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深夜ミサでは、しばしばパストラルが上演されます。伝統的なプロヴァンスのクリスマスを象徴するもので、キリスト生誕の場面をプロヴァンス語の歌とセリフで演じたものです。まるでクレッシュに飾られているサントン人形が動き出したかのような場面が演じられます。

by Cabon Charlotte

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