5分でわかるジュラ地方のワインのすべて

ジュラ山脈美食とワイン

Jérôme Genée/Jura Tourisme
© Jérôme Genée/Jura Tourisme

この記事は 0 分で読めます2020年2月25日に公開

白や赤はもちろんのこと、黄色や藁色をしたワインに発泡性のワイン…。ジュラ地方のワインはご存知ですか? France.frが、ジュラ山脈の麓で育まれるさまざまな表情を持ったワインの秘密をお教えします。

ぎゅっと凝縮されたぶどう畑

Jérôme Genée/Jura Tourisme
© Jérôme Genée/Jura Tourisme

敷地面積は問題ではありません!というも、“たった”80kmにわたって点在するジュラ地方のワインの畑は、豊かで変化に富んでいるのですから。シャンパーニュ=シュル=ル(Champagne-sur-Loue)からサン=タムール(Saint-Amour)まで、ジュラ山脈を背に7つの原産地管理呼称(AOC)を有する確かな品質のワインが造られています。このうちもっとも歴史のあるAOCのアルボワ(Arbois)はもっとも生産が盛んです。コート・デュ・ジュラ(Côtes du Jura)は北から南まで広域にわたって造られます。レトワール(l’Étoile)はシャルドネ系の白ワイン。シャトー=シャロンは黄ワインです。これら4つのAOCワインを有する土地は、マクヴァン・デュ・ジュラ(蒸留酒)、クレマン・デュ・ジュラ(発泡ワイン)、マルク・デュ・ジュラ(ブランデー)など4つの原産地保護呼称(AOP)も有しています。ジュラ地方のワインに使われるぶどう品種は、シャルドネ、サヴァニャン、プールサール、トルソー、ピノ・ノワールの5つです。

フローラル?それともトラディション?

シャルドネとサヴァニャンをベースにジュラ地方の白ワインは2つのカテゴリーに分類することができます。一つは、繊細で洗練されたフローラル系のワイン、もう一つは「トラディション」と呼ばれるしっかりとしたワインです。フローラル系の味わいを得るために、生産者は、熟成中のワインが自然蒸発によって目減りした分を継ぎ足す手法、ウイヤージュを行ない、樽の中の隙間を埋めてワインが空気と触れないように努めています。トラディションについては、ウイヤージュをせずにワインを空気に触れさせて表面に酵母の層を作らせ、それによってより芳醇なアロマを得たワインは、サヴァニャンのこく深さとシャルドネの繊細さを併せ持つことになります。

熟成の秘密

黄ワインは、熟成中のカーヴに忘れ去られたことによって生まれた偶然の産物だと言われています。「ジュラの黄金」と称される黄色いワインは、こんにち世界でもっとも優れた白ワインの一つとなっています。もっぱらサヴァニャン種をベースとし、樫の樽に最低6年3か月おさめられ、その間、生産者が手を加えることはありません。こうして熟成されることで、クルミ、ヘーゼルナッツ、アーモンドなどのナッツ類やスパイスのアロマをまとったワインとなります。黄ワインがクラヴランという620mlのボトルに注がれるのは、熟成前に1リットルあったものが目減りしてこの量になることに由来しています。ジュラ出身の科学者で、狂犬病のワクチンを開発したことで知られるルイ・パストゥールはワイン保存法に関する研究に取り組みましたが、その研究の中心をなしていたのが黄ワインの発酵プロセスでした。

ジュラといったら白ワイン!

Maxime Coquard/Jura Tourisme
© Maxime Coquard/Jura Tourisme

あまり知られていませんが、ジュラ地方では赤ワインも生産しています。ジュラ地方の赤ワインは、モルトー・ソーセージや加工肉、コンテチーズやモルビエチーズなどこの地の食の特産品との相性も抜群です。淡い赤色ゆえにロゼワインと思われることもあるプールサール種、これと反対に、よりタンニンの強い深い色味に、赤い果実やスパイス、胡椒を挽いたようなアロマが特徴のトルソー種__には驚かされるばかりです。__鮮やかな赤色にしっかりした味わいをピノ・ノワール種は、前出の2つの品種を掛け合わせることで赤い果実の風味とスパイシーさのあるワインとなります。

藁のような黄色のワイン

ジュラ地方には、なんと「藁ワイン」というものもあるんです!砂糖漬けの果物、蜂蜜、キャラメル、マーマレードの風味を持つこのリキュールワインは、厳格な仕様に従って生産されています。まずは3か月かけて、シャルドネ、サヴァニャン、プールサール、トルソーの果実から水分を抜くことから始めます。その後、果実を絞って得たジュースを約3か月かけて発酵させていきます。アルコール度数が14.7〜17度になったら樽に詰め、3年待ってようやく味わうことができます。

黄ワインのお祝い

ジュラの人々が心から誇りに思う黄ワイン。黄ワインにはお祝いのイベントがあります! 毎年2月初旬に黄ワインの愛好家たちが集うのは「ペルセ・デュ・ヴァン・ジョーヌ(Percée du Vin Jaune)」です。2日間にわたって行なわれる恒例のお祝い行事は、自治体が主催するもので、ワインの色とアンバサダーのシンボルカラーで染まります。街の地下貯蔵庫が開放され、和やかなお祭りの空気に包まれて、ジュラ地方の各地から集結した生産者たちの黄ワインを試飲することができます。料理のコンクール、試飲イベント、そして過去のヴィンテージの黄ワインがオークションにかけられ、その後は、熟成した新しいヴィンテージの樽が開封されます。ペルセ・デュ・ヴァン・ジョーヌ公式サイト(フランス語)

ジュラ地方の泡が弾けるワイン

赤、白、黄…とくれば発泡ワインの出番です! クレマンを語らずして、ジュラ地方のワインを網羅したことにはなりません。ジュラ地方の5つのぶどう品種を組み合わせたクレマンは、決まった手法に従って造られなくてはなりません。果実は手摘みされ、果汁が酸化しないように注ぎ穴のついたケースで運ばれ、そのまま絞られます。クレマンの発酵は18世紀末に確立したメソッドにの通り2段階で進められ、一次発酵はタンクまたは樽の中で、二次発酵はボトルで行なわれます。

さらに詳しく ⇒ジュラ地方のワインについて(フランス語 ⇒ジュラ地方観光公式サイト(英語)

おすすめ記事

【ジュラ山脈、自然の息吹】

by コンスタンス・ディヴ

france.fr編集長

あわせて読みたい