プロヴァンスの“緑の黄金”を求めて

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Pascale Béroujon
© Pascale Béroujon

この記事は 0 分で読めます2018年11月18日に公開

1998年からわたしたちのカメラマンが追いかけているのは、プロヴァンスでオリーブ農家を営むクーパ夫妻、カリーヌとローランです。「バスティード・デュ・ラヴァル(Bastide du Laval)」は二人がオリーブの実を収穫し、数々の受賞歴を誇るオリーブオイルを製造している施設です。プロヴァンスの“緑の黄金”と呼ばれるオリーブを愛するカリーヌとローランのもとに皆さんをご案内しましょう。

バスティード・デュ・ラヴァル

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「バスティード・デュ・ラヴァル」は、オリーブオイルについて理解し、香りを嗅ぎ、味わい、もっと知ってもらうための施設として、リュベロン国立自然公園の奥深くに造られました。バスティード・デュ・ラヴァルの搾油所は、オリーブの実からオイルを製造する場所であると同時に、プロヴァンスのオリーブとオリーブオイルにまつわる学びのコンセプトを具現化した場所となっています

プロヴァンスで社会見学

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オレオツーリズム(オリーブオイルについて体験しながら知る余暇)のコンセプトから、カリーヌとローランは搾油所と農場の見学ツアーを提供しています。オリーブ農園の散策、オリーブ栽培の学習、テイスティングとオリーブ果実による味の違いを学ぶ入門講座、オリーブオイルを使った料理教室など盛りだくさんのプログラムとなっています。

原産地統制呼称(AOC)

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カリーヌとローランのオリーブ農園は、良質な大地と製法技術の水準の高さの証である「プロヴァンスのオリーブオイル」という原産地統制呼称(AOC)が認められた地域にあります。彼らの農園で栽培されたオリーブから採れるオイルは決して多くはありません。これは毎年剪定を行なっているためです。だからこそ、少量ながら質のよいオリーブを生産することができるのです。

オリーブオイルは抗酸化物質の宝庫

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アグランドーといえば、ヴォークリューズ県でもっとも栽培されているオリーブの種類。「バスティード・デュ・ラヴァル」で造られるオリーブオイルにはこのアグランドー種がもっとも用いられており、その他、セロナンク種、ピショリーヌ種、ブテイヤン種、カイヨン種などが原材料として使われています。抗酸化物質が豊富なアグランドーとピショリーヌは、変質しにくいので長期保存に適しています。口に含むと喉の奥が軽くピリッとする辛味があるのが特徴です。

2014年から夫婦で手がけるオリーブオイル

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フランス語の「オリヴロン」とは、オリーブオイルの製造者であり、オリーブの実から油を搾る職人のことを意味することばです。カリーヌとローランは、2014年からオリヴロンとして活躍しています。「手塩にかけてオリーブの樹を育てると、実の加工にも手を出さずにはいられなくなるんです。(…)それに端を発して、次第に、搾油所を設立して自分たちの手で油を搾る技術を習得したいという気持ちが熟していきました。オリーブオイルの製造者であり職人になったのはそういうわけです!」

摘み取りはそっとやさしく

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オリーブの収穫は、ペーニュと呼ばれる先端の丸い熊手とネットを使い、10月下旬から12月にかけて人の手で行なわれます。摘み取られたオリーブの実は、すぐに抽出機の中へ。ローラン・クーパ曰く「抽出機に入れたオリーブは、果肉が熟したり、香りが飛んでしまうことがないように、収穫から極力時間を空けずに搾油されます」。こうして、オリーブの果実に一切の水分を加えないことで最良品質のオイルが抽出されるのです。

バランスのよい味わいを求めて

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1月、オリーブオイル職人ローラン・クーパがいくつものサンプルを前に着手したのは、これぞ完璧というオリーブオイルを生み出すため、苦味と辛味の絶妙なバランスをブレンドで実現することでした。

ブラインドテイスティング

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テイスティングをするとき、ローラン・クーパは青いグラス(国際オリーブオイル協会が定める公式テイスティンググラス)を用います。ゆっくりとグラスを回すと、オイルのアロマが立ちのぼります。色の濃いグラスを用いるのは、オイルの色を見てそのイメージに左右されることなく味を見極めるためです。こうして選びぬかれたオリーブオイルは搾油所内で瓶に充填されます。

プロヴァンスから大統領府へ

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オリーブオイルの製造に情熱を燃やす二人には、2009年以来、パリ農業コンクールで9個のメダルが授与されてきました。その評判が遠方にも轟いていることは、三つ星レストラン「トロワグロ」の創始者一族ミッシェルとセザール親子や大統領府のギヨーム・ゴメスを始めとするシェフたちが、二人の搾油所で作られたオリーブオイルを少なくとも1種類は取り入れていることからも明白です。

果実の風味を味わって

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オリーブオイルはソースの一つであることをお忘れなきよう。テイスティング時には感じられる苦味と辛味は新鮮で良質なオリーブオイルの証ですが、料理にあわせると消えてしまいます。あとに残るのは果実の風味。オリーブオイル好きにはたまらないものです!

by Béroujon Pascale

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