クリストが、パリで期間限定の作品を披露します。その名は‘ラッピングされた凱旋門’。衛生上の危機的状況のために講じられた措置を受け、このプロジェクトのお披露目は2021年秋に延期されましたが、クリストの逝去にもかかわらず実現の運びとなるはずです。アーティストにより、パリを象徴するモニュメントの一つが銀張りの青いリサイクル可能な布でラッピングされる、という驚くべき体験を、絶対に見逃すことはできません!
クリストは、ラッピングの対象に凱旋門を選びました。シャンゼリゼ大通りの始発点、エトワール広場の中心にそびえたつこのモニュメントがすっかりラッピングされる姿は、それを間近に見ることができる幸運に恵まれる人々に強烈な印象を与えることは確かです。2021年9月18日~10月3日まで、凱旋門のラッピングは、公共のスペースで現代アートの愛好家たちを魅了させることでしょう。
25.000 平方メートルの青みがかった銀色のリサイクル可能布
フランス文化財センターとポンピドゥーセンターとの緊密な協力によって実現の運びとなる作品には、大きさ25.000 平方メートルの青みがかった銀色のポリプロピレン製リサイクル可能布と、7.000mの赤いロープが必要です。
作品の展示期間中はもちろん、それに先立つ設置期間を含めて、無名戦士の墓の前で1923年以来、英霊追悼の炎がずっと燃え続ける凱旋門下の神聖な敷石のスペースは、完全に保護されます。
クリストはすでに35年前のパリで、彼のパートナー、ジャンヌ=クロードとともに、歴史地区にあるポン・ヌフを金色の布でラッピングし、センセーションを巻き起こしました。今回の凱旋門のラッピング設置に先立ち、二人のアーティストの足跡、特に1958年から1964年までの二人がパリで過ごした時代と、‘1975年から1985年のパリ、ポン・ヌフのラッピング・プロジェクト’の歴史をたどる展覧会が、2020年7月1日~10月20日、ポンピドゥーセンターで開催されます。
クリストによる凱旋門のラッピングは、実に彼が60年前に着手したプロジェクト
凱旋門のラッピングは、クリストによる完全な自己資金により実現したものです。彼のこのプロジェクトのための予備習作やデッサン、コラージュだけでなく、他のテーマに向けられた模型、1950-60年代の作品、オリジナルのリトグラフを売却し、その資金を得ました。彼はいかなる公的、又は私的な資金援助も受けていません。
プロジェクトは、長い年月をかけて練り上げられてきました。というのもクリストは凱旋門のラッピングを、1960年代にすでに、フォッシュ大通りからの合成写真で、そして1989年にはコラージュで具体化しており、2017年からそのプロジェクトに再び取りかかり発展させてきたのです。
2020年5月31日、彼は逝去しましたが、およそ60年の時を経て、そのプロジェクトがついに実現されることになります。ポンピドゥーセンターのプレス・リリースで、クリストを‘魔術師’と呼び、彼の‘比類なき作品’は‘現代の芸術史において不可欠’であった、と表現しました。
by France.fr Rédaction
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