ヴァンドーム広場にある老舗宝飾店の舞台裏

中央に有名な円柱が聳え立ち、それを囲むようにかつての上流階級の邸宅が佇むヴァンドーム広場は、パリの近代都市計画の美しさを実感できる場所です。邸宅の切石のファサードは歴史建造物に指定され、世界に知られた風景となっています。

19世紀に著名なパレスホテル・リッツがヴァンドーム広場に創業したのと時期を同じくして、有名な高級宝飾店が近隣に店を構え始めました。

宝石への情熱、唯一無二のノウハウ、精密な技術

それらの中でもヴァン クリーフ＆アーペル社はいち早くヴァンドーム広場に開業したメゾンで、22番地に店を構えます。以来、１世紀以上に渡り、宝石への情熱と唯一無二のジュエリー制作ノウハウ、精密な技術を見事に融合させて美しいジュエリーを作り続けています。工房では宝石細工職人、石留め工、宝飾制作者が、非常に高価で貴重な石や金属を加工しています。

ヴァン クリーフ＆アーペル社の歴史と技術の集大成とも言える代表作品、「ジップ」ネックレスの制作には職人による非常に長時間の作業を要します。同社は、宝石を支える金属が見えないように非常に薄いゴールドのネットに宝石を嵌め込む「ミステリーセッティング」という技術を生み出したことでも知られ、これはメゾンの代名詞としてよく引用されています。

宝飾品好きのすべての人に開かれたジュエリースクール、フランス式の卓越した技術を発見できる場

前述した独自のセッティング法「ミステリーセッティング」によりヴァン クリーフ＆アーペル社は1933年に特許を取得します。この技術をマスターしているのは数少ない宝飾製作者だけです。そこで同社では、老舗宝飾店の制作技術をより多くの人に広め、職人魂を分かち合う目的で、ジュエリースクール「レコール・ヴァン クリーフ＆アーペル」を創設しました。ジュエリーが好きな人々が夢中になれるような講座を多々開講しており、フランスならではの創作性や卓説性を発見する良い機会となっています。