ローヌ川とソーヌ川、そして(作家のレオン・ドーデによれば)ボージョレにも潤されているリヨンは、パリ、マルセイユ、アルプス山脈の間という理想的な場所に位置しています。ラグビーワールドカップ2023に当たって、ニュージーランド代表チームが昔ガリアの都だったリヨンをベースキャンプ地に選んだのは実に正しい選択です。リヨンではOL(オリンピック・リヨン)スタジアムで5試合が行われますが、これはリヨンの町を知るには願ってもないチャンス。ユネスコ世界遺産に登録された街並みを歩き、ブッション(リヨンの居酒屋)で本物の郷土料理に舌鼓を打ち、暖かく和気あいあいとした雰囲気に浸りきってください。
スタジアムその他へは環境にやさしい移動手段で
リヨン東部に位置するOLスタジアムは公共の交通機関で簡単にアクセスできます。市の中心部からは地下鉄とトラムを乗り継いでおよそ35分。トラムはスタジアムの真正面に止まります。リヨン・パール・デューLyon-Part-Dieu駅からは別の路線のトラムに乗り下車後は徒歩で。リヨン・サン・テグジュペリ空港のTGV駅からならローカル特急ローヌ・エクスプレスRhônexpressからトラムに取り次ぐのが便利です。 他にサポーターのためのスタジアム行き自家用車相乗り調整システムStadium Goなども利用できます。 リヨンでは無料貸し自転車サービスVélo’vのおかげで自転車での移動も大変便利です。町は自転車道路がよく整備されており、とりわけローヌの両岸は走りやすくできています。水上から歴史的建造物などを眺めたければ、ソーヌ川の電動シャトルボートに乗りましょう。これはヴェネチアの小型蒸気船にヒントを得たものです。 リヨンの公共交通機関に乗り放題のうえ美術館・博物館やさまざまな観光が割引料金になるリヨン・シティカードが便利。24時間と48時間の2種類があります。
公共交通機関を利用したリヨン市内の移動手段 TGVリヨン・サンテグジュペリ駅(空港)からスタジアムまでのアクセス Vélo'v Vaporettoでリヨンを船で移動する サポーター同士のカーシェアリング リヨン・シティカードでリヨンを訪ねる
街中で中継観戦…そして第3のハーフタイムを祝う
おいしいビールを(ほどほどに)楽しみ、試合観戦も少しはしたいという向きには、リヨンの住民と同様にするのがおすすめ。旧市街のパブに集合です。サン・ジャンSaint-Jean地区ならスモーキング・ドッグSmoking DogとアンティドットAntidoteがスポーツファンには大人気。サン・ポールSaint-Paul地区ではスコティッシュパブの雰囲気漂うヴァラスWallaceや純英国風のエレファント&キャッスルElephant & Castle。他にラグビー中継を流している店としてはナンカジNinkasiがあります。クラフト地ビールを1997年から作っており、リヨン市内にはお祭り気分で賑わうビアホールやバーを、旧市街やOLスタジアム周辺を含め十数軒展開しています。純粋に楕円球一筋の人向けには、地元のラグビークラブチーム「ル・ルーLe LOU」に協賛する約15軒のバーがあります。クロワ・ルスCroix Rousse地区のドッグズ・ボロックスDog’s Bollocks、市庁舎近くのル・カトルサンサンクle 405、ベルクール広場Place Bellecour近くのカフェレオーヌCafé Léoneなどです。
Le Smoking Dog
L’Antidote
Le Wallace
Elephant & Castle
Ninkasi
地元の産品、そしてフランスの美食を味わう
美食の都リヨンは地元の名物があまりにも多くてすべてを食べてみるのは難しいのですが、加工肉類から挙げれば、すり身肉のパイ包み、サラミソーセージまたはソーセージ入りブリオッシュ、健啖家ならグラトン(小さく切った脂身のコンフィ)をかじりながらアペリティフ。リヨン風サラダ(ベーコン、クルトン、卵、ニンニク)、カワカマスのクネル(すり身を蒸したもの)ナンチュアソース(ザリガニ風味のベシャメルソース)添え、タブリエ・ド・サプール(牛ミノのパン粉揚げを白ワインでマリネ)などが、ブッションと呼ばれるリヨンの伝統的レストランのおすすめ料理です。最も典型的な店には公式ラベルがついています。ダニエル・エ・ドニーズDaniel et Denise、ラ・メール・ジャンla Mère Jean、ラ・ムニエールLa Meunière、シェ・ムニエChez Mounier等がそれです。 チーズなら、名高いサン・マルスラン・デュ・ヴェルコールはメール・リシャールMère Richardの店で。セルヴェル・ド・カニュ(絹織物工の脳みその意)は水切りしたフロマージュ・ブランにシブレットとエシャロットの香りをきかせたもの。甘いもの好きにもおいしいものがあります!ここではプラリーヌ(糖衣アーモンド)が女王様!リヨンで外せないのはショコラテェ・ヴォワザンChocolatier Voisin。ここではプラリーヌとクッサン・ド・リヨン(リヨンのクッションの意、アーモンド生地でチョコレートのガナッシュをくるんだお菓子)を試食してみましょう。シェ・プラリュスChez Pralusではプラリュリーヌを。ピンクのプラリーヌが入った本当においしいブリオッシュで、大人にも子どもにも大人気の商品です。 リヨン名物を一通り見たければレ・アール・ポール・ボキューズles Halles Paul Bocuseへ。食品関連の商店や職人の店が56軒も集まっており、リヨンの最高においしいものがたった1ヵ所で全部そろいます!その他に遠回りしても行く価値のあるフードコートが2カ所。リヨン旧市街のフード・トラブールFood Trabouleとパール・デュー地区のショッピングセンター内にあるフード・ソサエティFood Societyです。ボナペティ!
Brasseries Paul Bocuse Brasserie Georges Chocolats Voisin Pralus Halles Paul Bocuse Dénicher un bouchon lyonnais
リヨンを観光する
リヨンを数時間または数日で観光するのは、ほどよい大きさの野外博物館を散策するようなもの、しかも2000年の歴史を探訪しながら。まずはフルヴィエールFourvièreの丘に登って町の壮大なパノラマビューに見惚れ、19世紀の大聖堂にも入ってみましょう。ルグドヌム(リヨンの古称)博物館musée Lugdunumでは内部に残るローマ時代の劇場で時を遡る旅に。丘を下ってリヨン旧市街Vieux Lyonに行けばユネスコ世界遺産にも登録されたルネサンス期の面影が残る界隈です。トラブールと呼ばれる秘密の抜け道では昔の絹織物職人たちの足跡をたどってみてください。次は美術館めぐりです。リヨン美術館Musée des Beaux-Arts、建物がユニークなコンフリュアンス(合流点)美術館Musée des Confluences、リュミエール研究所Institut Lumièreでは映画を発明したリュミエール兄弟の生涯が紹介されています。 ショッピングならまずはベルクール広場Place Bellecourの周辺です。ここはヨーロッパ最大の歩行者専用広場。そこからジャン・ヌーヴェルの手がけたリヨンオペラ座前の広場まで北上します。途中でグラン・トテル・デューGrand Hôtel-Dieuにも立ち寄りましょう。長らく病院だった場所が再開発でショッピングモールやホテルに生まれ変わっています。まだ充分堪能できていない?ではテット・ドールTête d’Or公園内のバラ園はいかがですか。あるいはクロワ・ルッスCroix-Rousse地区の坂道で一杯飲んだり、ローヌ河岸の平底舟でダンスに興じたり、ソーヌ川にかかる橋の上から日の出を眺めるのは?
リヨン周辺をめぐる
リヨンっ子に好評のデスティネーションは、アルプスのヴェネチアと呼ばれるアヌシー。そして抜群の透明度を誇るアヌシー湖はシーズン終わりの水上スポーツにも適しています。きれいな空気を胸いっぱい吸い込むのに、リヨンからは列車で2時間です。より近いところなら、ブドウ畑に行ってみましょう!リヨン観光案内所ではボージョレやコート・デュ・ローヌのワイン探訪ツアーを多数用意しています。きれいな小石、チーズ、建築、ツアーのテーマは多種多様。日帰りで行くならローヌ渓谷のタン・レルミタージュTain-L’Hermitageへの小旅行もおすすめです。ローヌ川を見下ろす丘の傾斜地に植えられたブドウの間を縫って散策し、シャプティエChapoutierの酒蔵を訪ねます。最後はシテ・デュ・ショコラ・ヴァローナCité du Chocolat Valrhonaへ。自転車で数分走ればローヌ川の対岸の町トゥルノン・シュル・ローヌTournon-sur-Rhôneに着きます。アルデッシュ県側にいるタン・レルミタージュの双子の姉妹といったところ。美しい城と石畳の小道が印象的な町です。
アルプスのアヌシーへ リヨン周辺のブドウ畑を歩く: ボジョレーを探検する ローヌ渓谷で五感を目覚めさせる シテ・デュ・ショコラ・ヴァローナCité du Chocolat Valrhona
どこに泊まる
スタジアムのすぐ近くに泊まりたければ、迷うことなく4つ星、140室のコップステールホテルKopster Hôtelへ。複合娯楽施設OLバレーOL Vallée内、OLスタジアムの足元にあります。約15のレストランと多数のアクティビティを備えたこの施設ならキックオフ前の時間を家族や友人同士で楽しく過ごせそうです。ボーリングや脱出ゲーム、ストリートアートのギャラリー、あるいはサッカークラブチームの博物館等々すべてがそろっています! 町の灯りが恋しい人は時を遡るホテル、インターコンチネンタル・リヨン・オテル・デューIntercontinental Lyon Hôtel Dieuへ。長い歴史と由緒を誇り、建築の美しさ、現代的なデザイン、そして美食との出会いのすべてを備えたホテルです。
by Revol-Maurel Caroline