フランス北東部に位置するナンシーは、アール・ヌーヴォーの発祥地として世界的に知られています。植物をモチーフにした繊細な曲線のデザインが街中に広がり、訪れる人々に感動を与えます。今回は、そんなナンシーの多彩な魅力を深掘りしてご紹介します。
アール・ヌーヴォーの中心地、ナンシー
フランスの美しい街ナンシーは、アール・ヌーヴォーの中心地としての魅力が詰まっています。この街では、ナンシー派の創始者エミール・ガレの素晴らしい作品を鑑賞できます。ガレは自然からインスピレーションを得て、ガラス工芸や家具、陶芸の装飾品など多岐にわたる作品を生み出しました。彼の影響により、ナンシーは日本を含む世界中で有名になり、彼の作品には日本文化のエッセンスも見受けられます。
ガレの信条「私の根源は森の奥深くにある」は、彼の自然への情熱と植物に対する深い知識を表しています。ナンシーで初めて、自然の植物の形態を観察し、それを芸術に反映させようとしたのが彼でした。ナンシー派美術館には、彼にインスピレーションを与えた植物や木々が美しい庭園を飾っており、訪れる人々にガレの芸術の源泉を感じさせます。
少し歩くと、アール・ヌーヴォー愛好家にはたまらないマジョレル邸があります。この邸宅は、家具や鉄細工の職人ルイ・マジョレルの私邸で、一般見学が可能な唯一のアール・ヌーヴォー様式の建物です。ルイは妻と息子と共にここで暮らし、その息子であるジャック・マジョレルは、モロッコのマラケシュにもう一つのマジョレル邸を建てたことで知られています。
ナンシーには、アール・ヌーヴォー様式の建築物が50以上も点在しています。住宅やビル、銀行、商業施設のファサードはもちろん、駅近くのブラッスリー・エクセルシオールもその一つです。これらの建物は、アール・ヌーヴォーの魅力を存分に味わわせてくれます。
また、ナンシーはクリスタルガラス産業でも知られています。特にドーム(Daum)は、その華麗なガラス製品で世界的に有名です。ナンシー美術館では、19世紀末から現在までのガラス職人たちの才能を示す貴重なコレクションが展示されており、訪れる人々はその歴史に触れることができます。美術館の近くには、現代の作品を扱うドームの店舗もあり、スタニスラス広場の反対側には、別の有名なクリスタルガラスブランド、バカラ(Baccarat)のお店もあります。
ナンシーには芸術があふれ、アール・ヌーヴォーの誕生以前からクリエーターたちの聖地であり続けています。この街を訪れることで、あなたもその魅力に触れることができるでしょう。ナンシーのアートと歴史を存分に楽しむ旅に、ぜひ足を運んでみてください。
王の広場であるスタニスラス広場
ナンシーのスタニスラス広場は、その美しさと歴史的な価値から訪れる人々を魅了しています。1983年にユネスコの世界遺産に登録され、旅行ガイドブック「ロンリー・プラネット」では、なんと世界で4番目に美しい広場に選ばれました。
広場の象徴ともいえるのが、鉄細工職人ジャン・ラムールによる豪華な金の扉。これを目にすると、ベルサイユ宮殿の華やかさが思い起こされます。実は、スタニスラス広場は18世紀にルイ15世に敬意を表して作られた広場なのです。その隣にあるグラン・オテル・ド・ラ・レーヌも歴史的な魅力を放っており、1770年に建てられたこのホテルには、マリー・アントワネットが訪れたという伝説があります。彼女の父親がロレーヌ公であったことを考えると、ナンシーとの深い繋がりが感じられますね。
こうした背景があるため、ナンシーは日本人旅行者にも特に人気があるのです。この街はフランス式の優雅さと、地域の特性をしっかりと保ちながら、職人技の真髄を映し出しています。歴史と美しさが交錯するナンシーの街を歩けば、その魅力に心を奪われることでしょう。
ナンシーの魅力を探る旅
ナンシーの魅力は、ユネスコ世界遺産やアール・ヌーヴォーの街だけにとどまりません。美食の街としても名高く、「ナンシー・パッション・シュクレ(Nancy Passion Sucrées)」の認証を受けた約20種類の特産スイーツが楽しめます。特に注目したいのが、ベルガモットやスール・マカロン(修道女マカロン)です。これは18世紀に二人の修道女がナンシーの信者にお礼として作ったことが起源とされています。さらに、ラム酒かけババ(干しブドウケーキ)も人気の一品です。
これらのスイーツは、ナンシーがかつて独立した国の首都だったロレーヌ公の歴史から生まれました。歴代の公爵たちはイタリアと深い関係を持ち、さまざまなイタリアの風味を街にもたらしました。その影響は、ナンシーの旧市街の街並みにも見ることができ、イタリア建築の要素や南方のおだやかさが感じられます。数多くのテラスや広場は、散歩やお酒を楽しむのに最適な場所となっています。
自然を愛する方にとって、ナンシーは庭園や公園が豊富にあることから、喜ばしい街です。最も有名な公園の一つであるぺピニエール公園は、スタニスラス広場の近くに位置し、その広さは20ヘクタール以上に及びます。また、フランス最大の植物園の一つであるナンシー植物園は、35ヘクタールの広さを持ち、12,000種類の植物や2500㎡の熱帯温室が楽しめます。
ナンシーでの宿泊施設も多彩です。アコー・グループのホテル(メルキュールMercure、ノヴォテルNovotel)やプチホテル(ギーズGuise、スタンダールStendhal)から、素敵な民宿(メゾン・ド・ミョンMaison de Myon、クロ・ジャノンClos Jeannon)まで、お好みに合わせた選択が可能です。
ナンシーは、アール・ヌーヴォーだけでなく、美食や自然、そして歴史が豊かに交わる街です。訪れることで、あなた自身の魅力を見つける旅ができることでしょう。
日本語で楽しむナンシー
ナンシーでは、日本語の情報を豊富に用意しており、訪れる際に役立つツールが揃っています。例えば、日本語のサイトや「ナンシー・シティーガイド」といったガイドがあり、観光用のミニトレインや説明イヤホンガイドでも、日本語音声を選択することができます。このため、日本語話者の方も安心して観光を楽しむことができるでしょう。
団体旅行やガイド付きの見学を希望される方には、ノア(Noa)が喜んでサポートします。彼女は日本出身のナンシー女性で、皆様のニーズに応じて自信を持ってお手伝いさせていただきます。文化や観光についての深い知識を持つノアが、特別な体験を提供してくれることでしょう。
お得情報:ナンシー・シティー・パス
さらに、ナンシーを訪れるなら「ナンシー・シティー・パス」を活用するのがおすすめです。このパスを使えば、全ての美術館や博物館、マジョレル邸への入館が可能です。また、イヤホンガイドの貸し出しも含まれており、公共交通機関も自由に利用できます。これにより、ナンシーの魅力を効率よく楽しむことができるでしょう。
ナンシーを訪れる際は、充実した情報と便利なサービスを利用して、素敵な体験をお楽しみください。
by France.fr編集部
France.fr編集部はフランスのトレンドや最新のニュースをお届けします。