「フラワーパワー」の時代に続き、「スローフラワー」の時代がやってきました!パリでは環境に配慮するフローリストたちが、季節と短い流通経路を尊重する花で作ったブーケの美に対する新しい意識を広めようとしています。ハイブリッドな彼らのお店では、すべてフランス産の花が、やはりメイド・イン・フランスの装飾を背景にして開花し、フラワーコンポジションが主要芸術と触れ合っています。そして植物の香りに溶け込むスローフードの匂い。100%グリーンな手を持つ5人のフローリストを訪ねます!
デジレDésirée、エディブルフラワー(食用花)
デジレでは、すべてがペアになっています。オードレイ・ヴナンAudrey Venantとマティルド・ビニョンMathilde Bignonは、フランスの園芸産業を守るために立ち上がった二人の女性クリエーターです。お店も11区と19区にあり、いずれもフラワーショップとカフェを兼ねています!すべてが地元産かつ季節の旬のもので、カフェは持続可能な食品を支持する団体「エコターブルécotable」のネットワークに所属。生花やドライフラワーは、すべてフランスの生産者のもとで育ちました。ブルターニュ地方、ヴァール県、イル・ド・フランス地方、さらにはパリも!デジレは、パリ初の都市型花畑プレネールPlein airからも、有機栽培された約200品種を仕入れているのです。二人の女性フローリストはまた、この花畑を始めたマサミ・シャルロット・ラヴォーMasami Charlotte Lavaultとともに3人で、スローフードとスローフラワーをマッチさせる方法について共著本「デジレ、パティセ(Pâtisser 生地をこねる)、キュルティヴェ(Cultiver 栽培する)、フルリール(Fleurir開花する)」まで出版しました! 公式サイト
レ・フルール・ソヴァージュLes Fleurs Sauvages、100%持続可能
芸術指導とフローリストの仕事の間には、小枝の厚さほどの違いしかありません!カルティエ、ゲルランその他のフランスの一流ブランドでフリーランスとして働いた後、トニアは現在イベント用に、また18区にある自身のお店での販売用に、花のブーケをアレンジするクリエーターとして才能を開花させています。販売しているのは、アリエ県と南仏で有機栽培され、鮮やかな色と保存状態により厳選した花で作るドライフラワー。ドライフラワーのブーケは人の感情と同じで、永遠に、もしくはほぼ永遠に続くものでなければなりません。その価値を高めるために、トニアは手作りの美しい花瓶を提供してくれる工芸家たちとコラボしています。確かにワイルドですが、とにかく美しいんです! 公式サイト
メゾン・ムスカリMaison Muscari、詩的な苗床
2020年初め、ポール・ロワイヤルの産院からすぐの場所に、フラワーショップでありながら100%メイド・イン・フランスのオブジェや家具・調度品もとりあつかう、一風変わったお店が出現しました。詩的で陽気な空間で集められるのは、手作りの革製品、アーティチョーク&キャロットフラワー&アガパンサスを組み合わせたカントリー風の作品、さらにはキスまで!キスというのはMuXu(ムシュー、バスク語でキス、の意味)のこと。小さなまだら模様の花瓶に入って売られているメゾン・ムスカリのシグネチャー・ブーケです!花も葉も短い流通経路で届けられます。有機的または減農薬で栽培され、保存添加物を使用せず、リサイクル可能なパッケージで、自転車で配達されてくるのです。 公式サイト
ユーカリプトュス・パリEucalyptus Paris、フランスの庭園を巡る旅
宝石加工職人の娘に生まれ、シャネルやリシュモンといった高級ブランドを渡り歩いたマチルド・ルブランMathilde Leblancは、別の昔ながらのノウハウを守ることを選び、フローリストになりました。2019年、彼女は16区の家族経営のフラワーショップをユーカリプトュス・パリと名付けて引継ぎ、環境に配慮したアプローチの店にしたいと考えました。「スローフラワー」を奨励するフランス花協会の活発なメンバーとして、ユーカリプトュス・パリでは季節の移ろいに応じて、ヴァール県のアネモネ、セーヌ・エ・マルヌ県の牡丹、ブルターニュの紫陽花といった旬の生花を取り寄せ、ブーケにして景観を作り出します。もっとフランスの庭園を旅したい、ですって?イル・ド・フランス、ブルターニュやサントル地方の環境に配慮した園芸農場からも、ドライフラワーを仕入れています。 公式サイト
ロリーヴ・アン・フルールL’Olive en Fleurs、花にも意味がある
「あなた以上に旅をする花には、Noと言ってください!」日替わりのスレート板に掲げられたメッセージは明快です。ラ・シャペルの屋内市場で、マリーは魂を持ったオブジェへの情熱と、意味を持つ花々への愛情を育んでいます。フランスの土壌と生物多様性の保全に関心を寄せるマリーは、ヴァール県とイル・ド・フランス地方の園芸農家から、色鮮やかで香り豊かな花を仕入れます。そして彼女は分かち合うことが好きなので、「ロリーヴ・アン・フルールの中心にあるアート」と題して、ショップ近在のアーティストたちにお店を開放し、美しいものを花開かせるアートを目指していますよ!彼女の真言は、サン=テクジュベリの星の王子様から引用した「それは絶対役に立つよ、だって美しいんだから・・・」なのです。 公式サイト
さらに詳しく
環境に配慮した方法で栽培されたフランス原産の植物を証明するラベルFleurs de France(フルール・ド・フランス)ラベルや、フランスの花文化や季節に合った植物の栽培に賛同するコミュニティCollectifdelafleurfrançaiseをご覧ください。
by Delorme Anne-Claire
旅行ジャーナリスト