息をのむようなパノラマを思いのまま眺めたいときはありませんか。フランスには、それにぴったりの場所があることに驚かれるでしょう:大西洋から地中海、コルシカ島南のティレニア海mer Tyrrhénienneからアンティーユ諸島が浮かぶカリブ海、そして太平洋のニューカレドニアなど。すっかり感心させられるでしょう! 思いっきり、髪を風になびかせて堪能できる、私どもが選んだ最も美しい湾をご紹介します。
最も自然なソンムSomme湾、オー・ド・フランス地方
砂丘、砂州、沼地と塩分を含んだ牧草地・・。そして砂浜から数メートルのところで水浴びをするアザラシや、毎年やってくる360種以上の渡り鳥・・。オー・ド・フランス地方に広がるソンム湾は、自然保護区域に指定され、散歩や観察に最適な場所です。ここでは、英仏海峡に注ぐ川の70キロに及ぶ河口を、徒歩やサイクリング、カヌーやカヤックで走り回り、まるで動く大景色の中に身を投じているかのような体験ができます。
最も並外れたモン・サン・ミッシェル湾、 ノルマンディー地方とブルターニュ地方の間
驚異!モン・サン・ミッシェルは、ノルマンディー地方とブルターニュ地方の間、ヨーロッパ最大の満潮が押し寄せる巨大な湾の中心に、幻影のようにそびえたちます。モン・サン・ミッシェルとその修道院が島となる、数時間のその景色は壮麗です。潮位が高い時でも、遊歩道橋で渡って行くことができます。干潮の時に湾を歩いて渡れば、忘れられない体験となります。裸足で砂を歩きながら、世界にふたつとないこの地の伝説に耳を傾けてください。
最も活気のあるキブロン湾、ブルターニュ地方
海藻のヨウ素の香り、カモメの鳴き声、キブロンの長い半島の沖合に浮かぶ、まるで花の冠が海に投げ込まれたような島々・・。キブロン湾の3つの美しい島、ベル・イル島、ワットHouat島、オエディックHoëdic島が、モルビアン湾とその魅惑の島々とともに、ブルターニュの南側のこの地を世界的に有名にしています。ブルターニュは、フランスで最も海の比重の大きい地方。南から北へとオーディエルヌAudierne、ドュアルヌネDouarnenez、モルレMorlaix、サン・ブリユSaint Brieuc、サン・マロなど、どれも美しい湾が目白押し。あなたはどちらがお気に入りですか?
最も水上的なプリガンPouliguen湾とラ・ボール湾、ペイ・ド・ラ・ロワール地方
ラ・ボールは、ポルニシェPronichetからプリガンまでの、完全に丸みを帯びた湾の奥底に、9キロにわたって延びる細かな砂のビーチです。ビーチクラブやカラフルな更衣室、水上アクティヴィティーとレストランで、ウオーターフロントでの娯楽をたのしむことができますし、堤防では、エヴェン島を見ながら散歩やサイクリングができます。海岸から少し離れた通りの、アール・デコ様式やベル・エポック様式の美しい別荘が、松の大木の陰にあり、タイムスリップした気分にさせてくれます。
最も保護されたサン・ジャン・ド・リュズ湾、バスク地方
シュトループ式の小さな登山電車に乗り、バスク地方の最高地であるリューヌRhune山頂に到着すると、荒れ地から大西洋まで360度のパノラマが広がります。サン・ジャン・ド・リュズ湾は景観の一部を構成し、静かで、ソコアSocoaの大桟橋、サント・バルブSainte-Barbe堤防とアルタArtha堤防で、海の波からしっかり保護されています。シブールCiboureの小さな港を通りフォールFortまで、広いビーチ沿いの徒歩でのお散歩がおススメです。別にサンダルである必要はありません。湾の遊覧船、パスールPasseurでの船旅とあわせてどうぞ。
最も見晴らしの良いラ・シオタ湾、プロヴァンス
マルセイユからトゥ―ロンにかけてのプロヴァンスには、‘世界の最も美しい湾’の一つがあります。ごく限られた数を厳選したその認定を、フランスで最後に受けました。ラ・シオタ湾は、別名アムール(Amour:愛)湾と呼ばれ、最上級での表現に値します。レーグル岬Bec de l’Aigleからデファン岬Pointe du Défensまで、黄金色に輝く崖のふもとの小さな湾と、青緑色の水をたたえる切れ込んだカランク(入り江)のオンパレードです。ヴェルトVerte島に向かい合ったグラン・ミュゲルGrand Mugel島とプチ・ミュゲルPetit Mugel島は、息をのむほどのその美しい眺めで、人気のピクニック先となっています。
最も海水浴に適したアンジュ湾、コート・ダジュール
このアンジュ(Anges:天使)たちは誰?伝説を信じるならば、おそらく、最も穏やかな保養地を慎重に選び、パラダイスを追われたアダムとイヴをそこに連れてきた天使たちではないでしょうか・・。アンティーブ岬からニースとその伝説的な遊歩道プロムナード・デ・ザングレまで、グランド・ブルーが広がるコート・ダジュール沿いのこの湾に、アンジュ湾より美しい名前をつけることはできませんでした。 ニースに近いサン・ポール・ド・ヴァンスやエズといった村々からのアンジュ湾の眺めは、サン・トロぺ湾にまでつながる壮大さです。
最も輝きを放つポルト湾、コルシカ島
太陽に焦がされた灌木の、くらくらする強い香りに包まれて、深い青色の地中海にそびえる赤色花崗岩の崖・・。ユネスコ世界遺産に登録されたコルシカ島の南にあるポルト湾は、日没時にその輝きを増します。ピアナPianaの入り江からジロラタGirolata半島、スカンドラScandola自然保護区域、山腹を走る海沿いのくねくねと曲がった道など、目がくらむ切り立った崖と、贅沢なまでのビューポイントでいっぱいです。
最もエキゾチックなフォール・ド・フランスFort-de-France湾、マルティニック
別名フランドル人の湾baie de Flamandsとも呼ばれるこの湾は、沖合から眺めるのが理想です。忙しいフォール・ド・フランスの街と、穏やかなトロワ・イレTrois-Ilets村を1日数回結ぶ船を利用するのも良いでしょう。北側のピトン・ドュ・カルベPitons du Carbetは、上級ハイカーに人気で、青い空を引き寄せるかのようです。南のサロモン岬は、スノーケリングと亀の観測のパラダイスであるアンス・ダルレAnses d’Arletビーチを想像させます。どこに目を向けるのがいいのか、もうわかりません・・。
最も心地よいサントSaintes湾、グアドループ
グアドループの沖に浮かぶこの小群島のサント湾に、カリブの青緑色の海を渡って到着することほど、美しいものはありません。テール・ド・オーTerre-de-Hautから眺めると、片側にはコクレCoquelet岬、反対側にはパン・ド・シュークルPain de Sucreが見えます。その二つの間には、カラフルなドールハウスが点在する緑の丘のふもとに、砂地の入り江がフリンジのように広がります。島は車両進入禁止です。そのため湾のもう一つのビューポイント、ナポレオンの砦には自転車かスクーターで向かいます。息をのむほどの絶景です。
by Filliâtre Pascale
旅行ジャーナリスト。未知なるフランスをご紹介します。 filliatre.pascale@orange.fr