【インタビュー】パリ2024大会組織委員会会長、トニー・エスタンゲ

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Tony Estanguet
© CIO / Tullio M. Puglia - パリ2024大会組織委員会会長、トニー・エスタンゲ氏

この記事は 0 分で読めます2024年2月7日に公開

パリ2024オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長であり、カヌー競技における3度のオリンピックチャンピオンでもある46歳のトニー・エスタンゲ氏は、大会開幕までのラストスパートを全力のエネルギーと情熱で漕ぎ進んでいます。彼の目標は、パリ五輪を魔法のようで忘れられないイベントにすること。 開会式まで残りわずか6か月となった今、パリ2024年を通してフランスとその自然・文化的魅力を発見するためのアドバイスを伺いました。

France.fr: パリ2024の特徴と、必見のイベントである所以を教えていただけますか?

トニー・エスタンゲ氏(以後「T.E」) : 2024年は歴史的な年となり、パリとフランスを世界に向けて輝かせるでしょう。6か月後、大会史上初めて開会式がスタジアム外で行われます。そして、世界のトップアスリートたちが、グラン・パレ、アンヴァリッド、ヴェルサイユ宮殿、マルセイユのマリーナといった壮大な競技会場で私たちを感動させてくれるでしょう。

また、初めての夏季パラリンピックも誇らしく迎えます。これはパラリンピック運動の成長を促進し、フランス社会、スポーツ界、さらにその先における啓発と変革の原動力となる機会です。

この大会が必見である所以は、この時代を象徴するイベントになるからです。

パリをはじめフランス全土が祝賀ムードに盛り上がり、チャンピオンズパークのトロカデロ広場から全国に200か所以上設けられる2024クラブまで、フランス中が湧きたちます。

France.fr: パリ2024オリンピック・パラリンピックのハイライトは何でしょうか?

T.E: 開会式が初めてスタジアム外、しかもパリの中心地で開催され、観客に無料でアクセスが提供されます。この先進的で注目されている開会式は、これまでにないスペクタクルであり、フランスの素晴らしい面を世界に示します。また、スポーツと芸術の融合においてもこれまでに類を見ない取り組みとなります。

2024年5月8日にオリンピック聖火リレーが始まり、パラリンピック聖火は8月25日に始まります。

オリンピック聖火はフランスの最も象徴的な場所を通過し、べレム号というフランス最古かつ最も有名な三本マスト船でマルセイユに到着します。パラリンピック聖火はイギリスのストーク・マンデヴィルから英仏海峡トンネルを通ってやってきます。これらの炎は、ラスコーの洞窟、モン・サン・ミッシェル、ルルド、モンブラン渓谷、ピック・デュ・ミディ、シャルトル大聖堂、ヴァントゥー山、ピュイ・デュ・フー、カンヌのパレ・デ・フェスティバルなどを通過し、フランスを横断するのです。まさに聖火リレー自体が壮大なスペクタクルなのです。

"聖火リレーの経路が多様なのは、フランスを一つの風景や地域で要約することが不可能だからです。"

France.fr: 個人として、またパリ大会の組織委員会の会長として、2024年のパリ大会にどのような期待を持っていますか?

TE: パリ2024は我々の国における、またとない祝祭の機会です。私たちは困難も経験していますが、素晴らしいイベントを作り上げることに繋がっているのです。私は、フランスが最も得意とするものを世界に見せ、フランス人に誇りを感じてもらいたいと思っています。残りの6か月で何をするか成功の鍵を握っています。まだまだたくさんの仕事がありますが、私たちはこの最終スパートに自信を持って取り組んでいます。

France.fr: スポーツの価値観は日常でどのようにあなたを支えており、パリ大会では何を伝えたいと考えていますか?

T.E: スポーツは努力の味、超越、諦めない精神、卓越性を教えてくれます。これらの価値観は社会で生きるためにも重要です。それは尊重、連帯、多様性、共有、結集の価値観でもあります。パリ2024はこれらの価値観をさらに推進し、私たちの社会に役立つ大会を目指しています。パリ2024は環境に配慮しており、過去の大会と比べて炭素排出量が半分になります。また、初めて男女同数の選手がスタートラインに立つパラリンピックを実現します。この、フランスで初めての夏季パラリンピック大会は、障がいに対する私たちの集団的な見方を変え、よりインクルーシブな社会の実現に貢献するでしょう。

France.fr: パリ2024期間中にフランスを旅行する方へのアドバイスをお願いします。

T.E: フランスの魅力を発見するためには、オリンピックやパラリンピックの聖火リレーの経路を参考にすることをおすすめします。これは、フランスの地域の文化、美しさ、多様性を象徴する場所を知る機会です。

文化遺産として特におすすめしたいのは、ヴェルサイユ宮殿、モン・サン・ミッシェル、ノルマンディー上陸のビーチ、コロンベ・レ・ドゥ・エグリーズとシャルル・ド・ゴール記念碑、ジャンヌ・ダルクの活躍したオルレアンなどです。

自然景観の美しさと多様性としては、ピク・デュ・ミディ、アルプスのモンブラン渓谷、プロヴァンスのヴェルドン地方、ブルターニュのモルビアン湾のモワン島が挙げられます。

そして、海外領土の魅力を発見するためには、オーシャンリレーをガイドにするのも良いでしょう。大西洋、インド洋、太平洋を渡る航海を経て6つの海外領土(グアドループ島、フランス領ギアナ、マルティニーク島、フランス領ポリネシア、ニューカレドニア、レユニオン)を訪れます。

フランスのクリエイティブな面やサヴォワ・フェール(伝統技術)を探求したい方であれば、ワインで有名なボルドーのサンテミリオン、ブルゴーニュのシャブリ、ロワール地方のコトー・デュ・レイヨンだったり、素晴らしい建築作品として有名なオクシタニーの壮大なミヨー高架橋だったり、航空宇宙の卓越性としてはギアナのクールー施設だったりがおすすめです。

これらは全て、聖火リレーの経路となっています。またルーヴル・ランスのあるオート・ド・フランスや、カンヌ映画祭の舞台であるコート・ダジュールも見逃せません。

トニー・エスタンゲ氏
© Tous droits réservés - トニー・エスタンゲ氏

France.fr:パリ大会は文化とも関連していますか?

T.E: はい、パリ2024はフランスの文化を発見することでもあります。その証拠に、大会では特別な文化プログラム「文化オリンピアード」も提供されています。このプロジェクトでは文化と地方自治体のすべての参加者を動員しました。総計2000以上のプロジェクトが文化オリンピアードでオンラインに登録され、500以上の地方自治体、数百のアーティスト、70以上の著名な機関が参加しました。

France.fr: あなたの旅行のおすすめやフランスのお気に入りの地域はどこですか?

T.E: 私の生まれ故郷であるヌーヴェル・アキテーヌ、特にランドとバスク地方です。多少の地元愛が入っているかもしれませんが、私がこの地域を愛する理由は、非常に多くのスポーツ、特に自然スポーツを楽しむことができるからです。ピレネー山脈の美しい景色の中でスポーツ楽しむことができるのは素晴らしいチャンスですし、また、バスケットボールやラグビーといった他のスポーツも楽しむことができます。
とはいえ、フランスは地域ごとに様々な魅力があり、お気に入りを選ぶのが難しいほどに多様です。聖火リレーの経路が多様なのも、フランスを一つの風景や地域で要約することが不可能だからなのです。

France.fr: あなたは休暇中にどのようなスポーツを家族で楽しんでいますか?

T.E: 私は3人の10代の子供たちと一緒に、普段からいろいろなスポーツを楽しんでいます。例えば、ベアルンのポー川でカヌーをしたり、ピレネー山脈でランドネを楽しんだり、ランドのカプブルトンでサーフィンをしたりします。家族でスポーツと自然への愛を共有し、自己を超えてさらに進むことを楽しめることが嬉しいです。私自身も子供の頃から家族と一緒にそれを経験していました。それが私の家族の特徴ですね。


インタビュアー:Pascale Filliatre

by France.fr編集部

France.fr編集部はフランスのトレンドや最新のニュースをお届けします。

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