トゥールーズスタジアムは1999年と2007年に続いて2023年3度目のラグビーワールドカップの会場となり、5試合が行われます。ラグビー王国のトゥールーズが選ばれるのは実に理にかなったこと。そのチームカラーから「赤と黒の男たちRouge et Noir」とよばれる地元のクラブチームはフランス国内選手権では最多優勝を誇り、チャンピオンに与えられる「ブレヌスの盾」を21回も手にしています。和気あいあいの祝祭ムードあふれる町トゥールーズはまた航空産業の中心地でもあります。頭は星空の中というわけです!ガロンヌ河畔から市庁舎前のキャピトール広場まで、ラグビーの祭典と同時に見るべきものはもりだくさん。バラ色の町の魅力をじっくりお教えしましょう!
スタジアムその他へは環境にやさしい移動手段で
トゥールーズスタジアムに公共交通機関で行くなら、バス路線網ティセオTisseoを利用するのが一番です。4路線がスタジアムまで行っています。サポーターはトラムも利用でき、最寄りの停留所からは徒歩5分です。スタジアムでイベントや試合がある夜は、地下鉄駅との間にシャトルバスも走っています。 トゥールーズに滞在中の移動には観光パス Toulouse PASS Tourismeが便利です。市内すべての交通網を利用できるほか、史跡や美術館・博物館への入場、観光案内所が企画するガイド付きツアーなどに使えます。種類は1日券から3日券まで。
トゥールーズを観光する
トゥールーズでは、レンガの色のバラ色から黄土色への変化が、必見の史跡や建造物をめぐる道しるべとなります。キャピトール広場に面した市庁舎Hôtel de Villeの豪華絢爛な「偉人たちの間salle des Illustres」、5世紀に建立され、ユネスコの世界遺産にも登録されたサン・セルナン・バジリカ聖堂basilique Saint-Serninと八角形の鐘楼、ゴチック建築(13~14世紀)の傑作ジャコバン修道院couvent des Jacobins、サン・ジョゼフ・ド・ラ・グラーヴ礼拝堂chapelle Saint-Joseph de La Graveとその超インスタ映えする丸天井は最近改装再開、あるいはアセザ館、これは藍染料植物パステルがもたらした富でトゥールーズが黄金時代を迎えた16世紀に多く誕生した豪邸のひとつです。途中にはガロンヌ河畔散策もぜひ。免許不要の電動ボートやバトー・トゥールーザンbateaux toulousainsに乗って水上散歩も楽しめます。そして宇宙テーマパーク「シテ・ド・レスパスcité de l’Espace」では宇宙飛行士になって宇宙征服の歴史を体験し、「ピスト・デ・ジェアン(巨人たちの滑走路)Piste des Géants」では飛行のパイオニア、郵便飛行機アエロポスタルAéropostaleのパイロットたちの足跡をたどります。
シテ・ド・レスパスcité de l’Espace ピスト・デ・ジェアン(巨人たちの滑走路)Piste des Géant 電動ボートでガロンヌ河を下る
トゥールーズ周辺をめぐる
緑の並木道と曳船道の間を縫ってミディ運河沿いの樹齢100年のプラタナスの木陰を自転車で走りましょう。ユネスコの世界遺産にも登録されたミディ運河はロラゲLauraguais港までの48キロ。あるいはもう少し先のノルーズNaurouzeの入口まで行けば、ミディ運河の発案者ピエール=ポール・リケを記念するオベリスクが見られます。そしてまだオフサイドでなければ、中央山塊の南西端モンターニュ・ノワールmontagne Noireの中にあるサン・フェレオル湖lac de Saint-Ferréolへと向かいましょう。ここはミディ運河のダム貯水池です。今度は自分のジャージを濡らす番となったらウォーターラグビーに参加です。毎年9月初めにガロンヌ川のラ・ドラド港port de La Daurade近くの水上に浮かんだラグビー場で開催されています。元国際級の選手たちとも競い合ったあとは、大河にザブンと飛び込んでリフレッシュ!
街中で中継観戦…そして第3のハーフタイムを祝う
トゥールーズでは何かビッグイベントがあるたびに市庁舎前のキャピトール広場にジャンポスクリーンが設置され、トゥールーズ市民に混じって試合を観戦できます!バラ色の町はまたスクラムの真ん中に陣取れるバーが多数あります。たとえば穀物市場Halle aux Grains近くのギレメリ橋pont Guilheméryのたもとにあるザ・ダニュThe Danuは、アイルランド出身で国際的に活躍した元ラグビー選手トレヴァー・ブレナンが開業したトゥールーズ初のスポーツバー。店の内外に8面のスクリーンを備えています。他にもビンテージな内装にコンサート・展覧会・あらゆるパフォーマンスに使える会場、そしてバーというハイブリッドな店コネクション・ライブConnexion Liveもおすすめです。そしてトゥールーズでお祭り騒ぎといったらガロンヌ河畔サン・ピエール広場place de Saint-Pierreに軒を連ねるバーは欠かせません。赤と黒の男たち(地元のプロラグビークラブチーム、スタッド・トゥールーザン)がフランスチャンピオンに輝いた夜などは「ブレヌスの盾(優勝盾)」が各店のテラスからテラスへと駆けめぐるのです。
地元の産品を味わう
活力を取り戻すのに地元の名産品に勝るものはありません。キャピトール広場の直近にあるサン・ジョルジュ広場place Saint-Georgesのレストラン エミールEmileは鴨のコンフィのカスレ(豆と肉のシチュウ)の他、モン・ロワイヤルの鳩、子牛の胸腺肉の蒸し煮フロック・ド・ガスコーニュ(甘口リキュール)風味など美味な伝統料理を出し続けています。ジーゴーJ’Goはヴィクトル・ユーゴのマルシェのすぐそば。地元の代表的なおいしいものがずらりと並びます。タルブのインゲン、ビゴールの黒豚、ジェールの農家で育てた鶏、IGP(保護地域表示)付きのランドの肥鴨、どれも各専門業者がレストラン内で準備しています。ラグビーの雰囲気、ステキなBGM、地元の食材を使った料理がお望みならメゾン・グッドMaison Goodのタッチラインへ。共同経営者のひとりはスタッド・トゥールーザンの名スタンドオフでフランス代表にも選ばれたロマン・ヌタマックです。本格的美食レストランで快適な第3のハーフタイムを過ごしたければ、ジャルダン・ド・ロペラJardins de l’Opéraがおすすめです。シェフのステファン・トゥルニエはミシュランの星とGreen Foodのラベルを持っています。これは「環境に責任を持つレストラン」に認証された店に与えられるフランス初のラベルです。南西フランスの香り高い美味かつビオな料理を出しています。
レストラン エミールEmileで自家製カスレを味わう ミシュラン星付きのJardins de l’Opéraで環境に配慮した食事を楽しむ レストランJ'Goで南西フランスの名産品を味わう Maison Goodでロカボグルメを堪能する
どこに泊まる
ガロンヌ川左岸の環境に配慮した新開発地区ラ・カルトゥッシュリーLa Cartoucherieに2022年6月にオープンしたエクロ・トゥールーズEklo Toulouseは、スタジアムからはトラムで25分、キャピトール広場にも15分の距離にある100室(貸切可能な6人用ドミトリーを含む)のホテルです。エコ・コンシャスな高さ76メートルの木造タワービルの下から5フロアを占めています。共用スペースは軽快でデザイン性の高い内装、天然素材と洗練された資材、壁はストリートアーティストによる装飾、有機農法と職人芸が光るスパイス類、地産地消のレストラン、心地よいBGM。エクロ・トゥールーズは単なるホテルを超えて市民に開かれた生活の場でありたいと願っています。
by Delorme Anne-Claire
旅行ジャーナリスト