© Atout-France/Adrian Hogan
2023年のラグビーワールドカップ フランス大会まで、いよいよあと1年。フランス各地の試合開催地のうち、2つの試合会場のある南仏プロヴァンスとコート・ダジュールは、国内外から人気を誇るフランス有数の観光地です。
そんな魅力あふれる南仏を紹介するために、オーストラリア出身のイラストレーター、エイドリアン・ホーガンさんが、ラグビーと縁の深い南仏の3つの街ニース、マルセイユ、トゥーロンをいち早く訪れました。南仏の日常風景をラグビー風に表現したイラスト作品と共に、各都市の見どころをご紹介します。
エイドリアン・
ホーガンさん
Adrian Hogan
NICEニース
19世紀から避寒地として温暖な気候や美しい景色を楽しむ目的で多くの人が訪れたニースは、今ではフランスを代表するリゾート地です。どこまでも青い海と空と鮮やかな南仏の建物のコントラストを楽しみながら、自由で開放的な雰囲気を満喫しましょう。そんなニースにラグビーが上陸したのは1912年のこと。今年はラグビー100周年を迎える記念の年なのです。
ニースではラグビーワールドカップの4試合が行われ、そのうち9月17日には日本対イングランド戦が決定しています。
© OTMNCA
エイドリアンさん、
ニースってどんなところ?
© Atout-France/Adrian Hogan
「マセナ広場」
エイドリアンさん:
マセナ広場に立つ大きなアポロン象を、リフトをするラグビーマンに見立てました。ニースを代表する美しい海も奥に少し描きました。
© OTMNCA
マセナ広場
Place Masséna
1840年に作られたマセナ広場はニースを象徴する広場で、中心に立つアポロンの彫刻と周りを囲む建物の赤みを帯びた茶色の壁や白黒の舗石が印象的です。2007年には修復工事が行われ、アート作品が置かれるようになりました。スペインの芸術家ジャウメ・プレンサJaume Plensaによる7つの彫像です。「ニースでの会話」と題する作品で、7つの大陸を象徴しています。
© Atout-France/Adrian Hogan
「シミエ地区のコロッセオ」
エイドリアンさん:
シミエ地区を訪れた時に、古代の円形闘技場がありました。ここでかつてグラディエイタ―達が闘技を行っていたことを思うと、まるで現代のラグビーのようだと思いました。古代の闘技場と、アリアンツ・リヴィエラ・スタジアムを融合させた試合会場で古代のグラディエイタ―と現代のラグビー選手が試合をしています。
© H.Lagarde-OTMNCA
シミエ地区
Cimiez
古代から人が住んでいたシミエ地区は、城跡と並んでニースの主要な考古学的遺跡の一つ。市の東側にあり、ローマ時代の遺跡や庭園のある修道院、更にシャガールやマティスの美術館があり、ニース観光の必見スポットです。また、シミエ地区は「リヴィエラにおける避寒地」として2021年7月より、ニースのユネスコ世界遺産の一部に組み込まれています。
© Drone 06 Architecte du stade Wilmotte & Associes
スタッド・ド・ニース
Stade de Nice
有名建築家ジャン=ミシェル・ヴィルモットが手掛け2013年にオープンしたスタッド・ド・ニースは、その美しい建築だけではなく、再生可能エネルギー設計が評価され、インターナショナルアーキテクチャー アワードを受賞しました。
ニースの新たな開発地区「エコ・ヴァレーÉco-Vallée」の中心にあり、最新テクノロジーを駆使した世界初のエコ・スタジアムです。客席数は3万5000席。2023年にはここでラグビーワールドカップの4試合が開催されます。
ニース
おすすめ観光スポット
© OTMNCA
城跡の丘
Colline du Château
ニースに来たらまず訪れるべき場所です。城跡の丘を登ると、そこはまるで海に突き出たバルコニーのよう。「天使の湾」と呼ばれるニースの海岸線や旧市街、周囲の丘が一望できます。植物園と公園、人工の滝があり、11世紀に建てられた大聖堂の跡もありますよ。
© Issock-OTMNCA
サレヤ広場
Cours Saleya
海からほんの数メートルにあるニースの旧市街は、歴史を感じることのできる地区です。観光客に限らず、地元の人も行き交います。直線的に伸びる広場は全体的にオークルの色調で彩られ、バロック的で、月曜日には骨董市、それ以外の日には花市や野菜の市が立ち、目を楽しませてくれます。フランスでもっとも絵になる市場のひとつとされています。
© Kelagopian-OTMNCA
プロムナード・デ・ザングレ
Promenade des Anglais
世界的に有名なニースの象徴的なスポット、プロムナード・デ・ザングレ。地中海沿岸に7キロにわたって続くこの通りで、人々は早朝から散歩やサイクリング、ジョギングあるいは海水浴を楽しみ、ニース独特の強烈な光と色彩を満喫しています。ニースっ子たちが「プロム」と呼ぶこの通りにはヤシの並木があり、伝説的なネグレスコホテルやパレ・ド・ラ・メディテラネなど華麗な高級ホテル、パレス級ホテルが連なることでも知られています。
© J.Kelagopian-OTMNCA
「ニース郷土料理」
ニースの伝統的な郷土料理を出す店をニース観光局が認証する「キュイジーヌ・ニッサルドCuisine Nissarde」というラベル制度があります。店選びに迷ったら、このステッカーの貼られた店を探しましょう。店のリストはニース観光局のサイトにも掲載されています。
多様性に富んだニースの郷土料理は小さなビストロや高級料理店、店内あるいはテラスでも、場所やレストランの格を問わず味わうことができ、旧港や旧市街への眺めが花を添えてくれるでしょう。
画像はニース風サンドイッチ「パン・バニャ(pan bagnat)」
MARSEILLEマルセイユ
紀元前6世紀にギリシアのフォカイア人が築いた植民都市にはじまる、フランス最古の都市マルセイユ。天然の良港に恵まれるマルセイユは貿易の中心地として発展し、現在も様々な人種が行き交う国際都市としての異国情緒あふれる雰囲気が魅力的です。
ラグビーワールドカップでは世界の観戦客を迎えて、準々決勝2試合を含む6試合が行われます。日本代表が準々決勝に勝ち進んだ場合の舞台となるのもここマルセイユです。
© Pocholo Calapre / EyeEm
エイドリアンさん、
マルセイユってどんなところ?
© Atout-France/Adrian Hogan
「マルセイユ旧港の魚市場」
エイドリアンさん:
マルセイユの旧港で魚を台に置こうとしている市場の男性を、ラグビーのトライを決めようとしている選手に見立てて描きました。騒がしい海鳥が、まるで得点を阻止しようとしている相手チームの選手のようですね。背景にはノートルダム・ド・ラ・ガルド大聖堂のある丘の風景、左上には鏡の天井オンブリエールが見えています。
© Fotolia-OTC
旧港 Vieux Port
旧港はノートルダム・ド・ラ・ガルド大聖堂と並ぶマルセイユのトレードマーク。人々が集い、大きなイベントが開催されたり、花火大会が行われるなど、マルセイユの街のシンボルとなっています。旧港の新スポットの「オンブリエール」でセルフィーを撮ったり、出港する漁船を眺めつつ河岸をそぞろ歩きしたり、旧港周辺にある史跡を観光したり、フェリーでミニクルーズに出てみたり…楽しみ方は無限です。美味しいものに目がない方は、毎朝開催される魚市場も要チェックです。花が好き、という方には毎週火曜と土曜の朝には花市場も開かれます。
© Atout-France/Adrian Hogan
「マルセイユ大聖堂で
ゴールキック」
エイドリアンさん:
サント・マリー・マジョール大聖堂(マルセイユ大聖堂)を見た時に、ラグビーのゴールポストの形が見えたので、このイラストのアイディアが浮かびました。ラグビーボールの代わりにブーケを蹴り上げていてなんともロックですね。周りの人々は、ゴールが決まることを願っているようにも、花嫁の幸せを願っているようにも見えますね!
© Fotolia
ル・パニエ地区
Le Panier
マルセイユ大聖堂はマルセイユで最も古い地区、ル・パニエにあります。マルセイユは2600年もの歴史を誇るフランス有数の古都なのです。迷子になることを恐れずに、狭い路地まで気ままにぶらぶらして、趣のある地区を満喫してみてください。皆に開けていてフレンドリーな雰囲気が心地よく感じられるはずです。小さなカフェのテラスやストリートアートに彩られた建物の壁面、クリエイターの小さなブティックなどが連なり、この地区はまさしく屋根のない青空ミュージアム。マルセイユを観光するなら、ル・パニエ地区は外せません。
© OMTCM
オランジュ・ヴェロドロームスタジアム
Stade Orange Vélodrome
オランジュ・ヴェロドロームスタジアムは収容人員67,000、フランスで2番目に大きなスタジアムで、地元の強豪サッカーチームのオランピック・ド・マルセイユ (OM)のホームスタジアムとしても知られています。多くの有名サッカー選手が活躍しましたが、ラグビーもオープン当初からこのスタジアムを使用しています。歴史が詰まったこの神話的スタジアムは80年間、マルセイユを賑わせ続けてきています。マルセイユ観光局によるスタジアム見学ツアーに参加すれば、スタジアムを舞台にしたさまざまなエピソードスタジアムの中を見ることもできますよ。
マルセイユ
おすすめ観光スポット
© OTCM id
ル・コルビュジエの
ラ・シテ・ラディウーズ
Cité radieuse
ル・コルビュジエ設計のラ・シテ・ラディウーズはユネスコ世界遺産にも登録されており、必ず訪れてみたい場所です。集合住宅であるラ・シテ・ラディウーズは光や遠近法、色彩を駆使したコンセプトによるクリエイティブでアヴァンギャルドな本格的な建築作品。20世紀に建てられたこの新しくモダンな建物は、シャルル=エドゥアール・ジャヌレ(ル・コルビュジエの本名)の「すべての住人に日常的に住み良さ、快適さを提供したい」という熱意から生まれました。
© OTCM
イフ城
Château d’If
マルセイユに数ある素晴らしい建築物の代表に挙げられるのがイフ城です。中世ならではの曲線が特徴的なこの城砦はマルセイユ沖にあり、フランソワ1世により建てられました。400年もの間、国の刑務所として公的利用されてきました。アレクサンドル・デュマの小説「モンテ・クリスト伯」でも有名になったこの城は重要文化財でもあり、国定の史跡として登録されています。アクセスは簡単で、旧港から船で20分。気晴らしには絶好の場所です。マルセイユの港を望む素晴らしい景色が堪能できますよ。
マルセイユ
おすすめレストラン
© OTCM
「ミラマール」
Miramar
ミラマールは、マルセイユのレストランの中でも国際的な評価を得ているお店です。かの有名なブイヤベースをはじめとする、美味しいシーフード料理を、素晴らしいパノラマビューと質の高いサービスと共にお楽しみください。
魚市場が毎日開かれるマルセイユの旧港に位置し、テラスからは船やノートルダム・ド・ラ・ガルド大聖堂がよく見え、素晴らしい景色が堪能できます。
TOULONトゥーロン
16世紀からフランスの主要な軍港として発展したトゥーロンは、五郎丸選手の在籍したラグビークラブ・トゥーロン(RCT)のホームタウンです。ラグビーの長い歴史を持ち、プロヴァンスのラグビーの聖地と言っても過言ではありません。ラグビーワールドカップの試合開催地ではないものの、南アフリカ代表のチームベースとなります。
港、ビーチ、ケーブルカー、そしてマイヨールスタジアム。ダイナミックなトゥーロン観光をお楽しみください。
© Office de Tourisme Provence
Méditerranée–Julien Mauceri
エイドリアンさん、
トゥーロンってどんなところ?
© Atout-France/Adrian Hogan
「トゥーロンの
マルシェでスクラム」
エイドリアンさん:
トゥーロンの旧市街を訪れた時、ちょうどマルシェが開かれており、人で賑わっていました。お客さんが売り場で丸い果物を手に取っている様子を見て、ラグビーボールを囲んでスクラムを組むイメージが浮かびました。奥の方には港に停泊している船が少し見えます。
© Office de Tourisme de Toulon
トゥーロン旧市街
トゥーロンはプロヴァンス気質に溢れた街です。散策したり、ラファイエット広場のマルシェをのぞいたり、レケール広場のテラスで一杯飲んだり、アール通りでショッピングを楽しんだりするのはいかがでしょう。港は1日のうち、どの時間帯に散策に訪れてもいい場所。船に乗って、ヨーロッパで最も美しいとされる港を眺めるのも良いでしょう。
© Office de Tourisme Provence Méditerranée-Julien Mauceri
マイヨールスタジアム
Stade Mayol
マイヨールスタジアムは、フランスで唯一市街地にあり、海に最も近い場所にあるスタジアム。正真正銘のラグビーの殿堂です。著名な歌手フェリックス・マイヨールによって1919年に建てられたもので、常にジャケットの胸にスズランをつけていたマイヨールに敬意を表し、トゥーロンのラグビークラブはクラブの紋章をスズランのデザインにしています。1万8200人収容可能のこのスタジアムではラグビーのフランス選手権TOP14や欧州チャレンジカップの試合などが開催され、トゥーロンっ子たちの誇りとなっています。
トゥーロン
おすすめ観光スポット
© Office de Tourisme Provence Méditerranée–Urope
屋内市場
Les Halles
トゥーロンの市街中心にある屋内市場は、トゥーロン市民に地元産の品質の高い食材を届けています。青果店、パン屋、精肉店、チーズ店、ロースト肉専門店、鮮魚店、カキ専門店、ワイン店などが並び、あらゆる食材が揃います。アールデコ様式の建物はトゥーロンのランドマーク的存在。2021年9月10日より、25軒の食にまつわる職人や店舗によって、賑やかで温かみのある場所に生まれ変わりました。
© Office de Tourisme Provence Méditerranée–Julien Mauceri
ファロン山
le Mont Faron
トゥーロンのシンボル的存在、ファロン山。徒歩でも、車でも、ケーブルカーでも登ることができます。標高は584メートルで、頂上からはトゥーロンの港を見下ろすことができ、またヴァール県の内陸部も眼下に広がります。トゥーロンの街を望む絶景を堪能するにはケーブルカー(地中海沿岸では唯一のもの)で登るのがおすすめ。頂上にはさまざまな施設があります。プロヴァンス上陸作戦メモリアル、動物園、標識整備されたハイキングコース、松林の木陰にあるピクニックエリア、など楽しみが広がります。
© Métropole TPM. O.Pastor
トゥーロンのビーチ
トゥーロンにあるビーチの中でも、ムリヨンビーチは理想的な場所にあり人気があります。プレイエリアやレストラン、そして景観のよい広々としたスペースがあり、最高に晴天に恵まれた日を満喫することができます。隠れ家的なビーチをお探しの方には、ヴァール県内でよく見られるタイプの湾であるミトル湾やメジャン湾のビーチがおすすめです。松林や漁師の小屋が点在する断崖の下にあり、セミの鳴き声や波音を聞きながら、のんびりとしたひとときが過ごせますよ。
トゥーロン
おすすめレストラン
© Office de Tourisme Provence Méditerranée-Sandrine Benezech
「ル・リド・ド・トゥーロン」
le Lido
1990年創業のル・リドは魔法のようなひとときを過ごすことができるトゥーロンならではのレストランです。ランチやディナーでは、港までさえぎるものが何もない眺望が楽しめ、まるで足を海につけて食事をしているかのよう。サン・ルイ砦からすぐの場所にあり、洗練された地中海料理、特に魚料理を楽しむことができます。気分転換、心身のリセットができることは間違いありません!
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