ニースの「ガール・デュ・スュッド」でグルメ三昧

インスピレーション

コートダジュール美食とワイン

ニースの旧駅ガール・デュ・スュッド(Gare du Sud)はグルメスポットへと変貌を遂げました。
© Ilan Dehé - ニースの旧駅ガール・デュ・スュッド(Gare du Sud)はグルメスポットへと変貌を遂げました。

この記事は 0 分で読めます2019年10月20日に公開, 2024年1月9日に更新

ニースの中心、リベラシオン街。ギュターヴ・エッフェルが手がけた鉄筋構造の古い鉄道駅が、新たな役目を担うことになりました。食と文化の総合施設へと生まれ変わり、歴史的建造物に指定されているこの建物に、特別な使命のようなものが与えられたのです。ニースのアリエール・ペイ(北側の山あいの地域)やその他の地域の味覚、色、香りが「ガール・デュ・スュッド(Gare du Sud)」で混じり合います。

1991年までは、「ガール・デュ・スュッド」へ行くといえば、アリエール・ペイか、ディーニュ・レ・バン方面へ行くために電車に乗るものと決まっていました。それが2019年の春からは、かつてのプラットフォームから動かずに、南フランスと世界をめぐることができるようになったのです!

食べる、ショッピングする、展示を見る

広さ1500平方メートルの駅舎は、1000平方メートルの中二階が増築され、ニースっ子と観光客がともに集う場所へと生まれ変わりました。ここでは、地元の飲食店が出す煮込み料理が味わえるだけなく、ショッピングをしたり、お酒を飲んだり、展覧会を訪れたり、音楽を楽しんだりすることができます。

ニースのガール・デュ・スュッド(Gare du Sud)にて、DJセット
© Ilan Dehé - ニースのガール・デュ・スュッド(Gare du Sud)にて、DJセット

ギュスターヴ・エッフェルが着想した歴史的装飾にも目を向けておきましょう。エッフェルは、1889年の万国博覧会のロシアとオーストリア・ハンガリーのパビリオンのためにこの鉄筋構造の大ホールを手がけました。

中央の大きなフードコートは、幾つもの大テーブルを備え、壁際に30もの屋台が並びます。空間全体は、冬の庭を思わせるエキゾチックな植物と、ニース旧市街の暖色と呼応する鮮やかな黄色の平面で仕切られています…。

料理であちこちを巡る旅

風を通すタペストリーに包まれたファサードと同様、全面的に改修され、化粧直しされた立派なアーチ天井(高さ18メートル)のもと、ガール・デュ・スュッドは週6日、料理で旅をする興奮を提案しています。

こちらの屋台からあちらの屋台へと、世界を訪ねて回る楽しい時間。あちこちの味覚を体験してみましょう。日本の寿司の屋台から数歩のところには、インドのカレーやアメリカのハンバーガーの屋台があります。地元の特産品を扱うカウンターには、南仏の味覚のあれこれがずらりと並んでいます。

オイルからタプナードまで、アリエール・ペイのオリーブのすべてを味わうなら、オリーブの生産、搾油、製菓を手がけるニコラ・アルジエリ(Nicolas Alzieri)のオリーブ・バーへ行ってみましょう。メゾン・デュ・シトロン(Maison du citron)では、マントンのあちこちの庭で採れる果物、レモンを砂糖味や塩味で味わうことができます。シェ・マッド・ア・ニース(Chez Mad à Nice)では、ニースの旧市街のカラフルな街角から飛び出してきたようなパン・バニャ、ソッカ、ドーブに出会えますし、ターブル・エピスリ・プロヴァンサル・デクス・エ・テラ(Table Epicerie-Provençale d’Aix & Terra)では、タプナードのラヴィオリ、ピサラディエールのタルティーヌなど、シックで魅力的なエクス・アン・プロヴァンスのライフスタイルを彷彿させるアレンジメニューを取り揃えています。   かつての教皇領、コムタ・ヴネサンの肥沃な平原もぜひお訪ねください。アトリエ・メゾン・ドゥ・ラ・トリュフ(l’atelier Maison de la Truffe)では、人びとの舌を感動させ、コムタ・ヴネサンの首都カルパントラの評判を押し上げた、繊細にして貴重なトリュフを味わうことができます。

ニースのガール・デュ・スュッド(Gare du Sud)にて、食卓を囲む
© Ilan Dehé - ニースのガール・デュ・スュッド(Gare du Sud)にて、食卓を囲む

未知の場所を訪ねてみたいのなら、エディット・ピアフのかの有名な歌にちなんで名付けられたバー、ラ・ヴィ・アン・ローズ(la Vie en Rose)へどうぞ。ワイン、カクテル、ビオ・ジュースに、タパス、地元のシャルキュトゥリをみんな分け合って囲めば、幸せな気分になれることでしょう。

テラスでコート・ダジュールの太陽を満喫

太陽が恋しい?それならぜひガラス窓の向こう側へどうぞ。フードコートの飲食店は、コート・ダジュールの柔らかな陽光を楽しみたい人たちのためにテラス席を用意しています。

中二階へと昇れば、そこはベル・エポックやアール・デコを彷彿させる建築の細部を愛でるのに格好のスポットです。サルベージショップや、はやりの雑貨コレクション、限定のコレクションなどを扱う店を回ってショッピングを楽しみ、開催中の展覧会を鑑賞しましょう。11月末まで開催している「ヴァレリー・マルコとフランクヴィアノのX線にかけたニース料理La cuisine niçoise aux rayons X par Valérie Marco et Franck Viano」展では、ズッキーニの花、アーティチョーク、ナスなど、伝統的なレシピに用いられる食材を別の視点から見ることができます。

週末は移動ゼロの旅行で決まり。乾杯の時間や夜のパーティタイムには、DJやライヴバンドが旅人たちをスイングさせ、音楽の世界の果てまでいざないます!

さらに詳しく ・ガール・デュ・シュッド公式ページ(フランス語) ・ニース観光局公式サイト(日本語) ・コート・ダジュール観光局公式ページ(英語)

by アンヌ=クレール・ドゥロルム

旅行ジャーナリスト

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