ブルゴーニュで「クリマ(Climat)」といえば、フランス語の「気候」を意味する言葉のことではなく、ディジョンからサントネイにかけて、ぶどう畑を細分化した区画のこと。France.frが、ユネスコ世界遺産に選ばれたこのブルゴーニュ独特のクリマについてわかりやすくご説明します。
「クリマ」はブルゴーニュならでは
ほかの土地でクリマを探そうすると…それは無駄足になってしまいます。なにせクリマはブルゴーニュにしかないのですから! 2015年にはユネスコ世界遺産のリストに登録されました。ぶどう栽培の一つのモデルが実を結んだクリマは、ワインとその原料が採れた場所を正確に結びつけるものです。 2023年にはマコンを筆頭に、ボーヌとシャブリに3つのワイン博物館「シテ・デ・クリマ・エ・ヴァン Cité des Climats et vins de Bourgogne」が満を持してオープン。 巧みに境界を定められたぶどう畑は、区画ごとに土壌の質や陽光の当たり方に特徴があり、それぞれに適したノウハウと人の手が入ることで、ワインに唯一無二の味を与えます。 1247のクリマが、ディジョンからボーヌの南まで約60kmの帯状に広がっています。
想像力をかきたてる名称
シャサーニュ、ピュリニー、モンラシェ……。いまやグラン・クリュ(特級畑)と同義になっているクリマの名称の多くは中世に名付けられたもので、区画の地形や地質の特徴を表しています。たとえば、「ロマネ」といえば、かつてローマ街道だったところとほぼ重なることを指し、「ペリエール」といえば、石の多い土壌を指していますし、「モンラシェ」といえば草木の生えていない丘に由来しています。
2000年の歴史の遺産
クリマはぶどう栽培の伝統の賜物です。 その歴史は、2008年にジュヴレ=シャンベルタンで見つかった古代のぶどう畑で明らかになったように、今から2000年以上前、ガロ=ロマン時代まで遡ります。 ローマ人の後に、シトー会やベネディクト会の修道士、歴代のヴァロワ・ドゥ・ブルゴーニュ公、続いて、ワイン商にブドウ栽培者…彼ら全員が、今日わたしたちがよく知る、ブルゴーニュ地方のぶどう畑の名声に寄与してきたのです。
楽しい、美味しい、ぶどう栽培の伝統
クリマには長きにわたる伝統があります。 1859年以降、11月の毎週末ごとに、人びとがボーヌ施療院のワイン競売会(チャリティオークション)に押しかけます。ボーヌ施療院は、いくつかの名高いクリマを所有しています。 1月は、サン=ヴァンサン・トゥルナンの祭りの番です。ぶどう栽培者たちの守護聖人、聖ヴァンサンを讃えるこの催しは、いくつものパレード、試飲、その他のグルメイベントが目白押しです。 誰もが知るといえば、なんといっても、シュヴァリエ・デュ・タートヴァン(ブルゴーニュ利き酒騎士団)の主催で、本部クロ・ドゥ・ヴジョーで行なわれる600人の大晩餐会! 毎年6月に始まる「ル・モワ・デ・クリマ(クリマ月間)」もお忘れなく。ユネスコ世界遺産に登録されたことを記念して行なわれるル・モワ・デ・クリマは、各種見学、試飲、散策など楽しい企画が盛りだくさんです。 サン・ヴァンサン・トゥルナン公式サイト(英語) ル・モワ・デ・クリマ(クリマ月間)
小屋付きの石垣
ここブルゴーニュでは、「ミュレ・ドゥ・ピエール(石垣)」といったら、ぶどう畑で使う農機具を納めたり、畑で働く人たちが休憩したりするための小屋のことを指します。単純に、石を高く積み上げた垣根とはちょっと違うのです……。石の壁で仕切られたそれぞれのぶどう畑は「クロ」と呼ばれ、往々にして、その中心には小さなシャトーがそびえています。ミュレ・ドゥ・ピエールやシャトーは、クリマならではの景観を生み出しています。
メゾンでクリマを知る
ブルゴーニュ地方のぶどう畑、クリマと特級畑についてもっと詳しく知りたいですか? ボーヌのメゾン・デ・クリマでは、デジタル技術を駆使して、訪問する方がブルゴーニュ地方のぶどう栽培の歴史に浸れる展示を行なっています。
さらに詳しく ・ブルゴーニュのワイン畑について(英語) ・ブルゴーニュ観光局公式サイト(英語)
by France.fr編集部
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