ノルマンディーを訪れるなら、ドーヴィルの散歩道を辿り、シェルブールで雨傘をさしましょう。ノルマンディー上陸作戦の歴史ある海辺で歴史を学ぶもよし、エトルタの断崖の絶景を眺めながら印象派の画家たちに思いを馳せでもよし。リンゴのお酒カルバドスやホタテ貝を味わうこともお忘れなく。
ノルマンディー地方で必ず訪れたいスポット
- 記憶の場所
コルヴィル・シュル・メール近くのオマハ・ビーチには、果てしなく広がる芝生の上に建てられたシンプルな白い十字架に、9,387人の名前が記されています。第二次世界大戦の転機となった1944年6月6日のノルマンディー上陸作戦の際に命を落としたアメリカ人兵士たちの名前です。サント・マリー・デュ・モンからウィストレアムまでの間にある5つの上陸海岸は、史上最大の空と陸からの作戦の記憶を永遠にとどめています。カンには平和記念館があり、細やかな展示と演出が歴史上最大の戦いを目の当たりに見せてくれます。
それよりはるか昔にさかのぼる1066年に、ノルマンディー公のウィリアム征服王がイングランドを征服したヘイスティングズの戦いの記憶も残っています。バイユーのタペストリーです。刺繍が施された長さ70mのタペストリーは、ロマネスク芸術の白眉と目されています。
- ノルマンディーでスター気分
ドーヴィルでなら、映画スターの気分を味わうことも可能です。有名な海沿いの遊歩道プランシュを歩いてみればよいのです。643mの板張りの遊歩道は、毎年9月に開催されるドーヴィル・アメリカ映画祭の時に、映画界のセレブが行ったり来たりする場所です。まさに、ノルマンディーのサンセット大通りです。ハリウッドのようにアールデコ様式の脱衣所に沿って、著名な映画人の名前が記されています。
- モン・サン・ミッシェル
沖合にある岩の上にそびえる幻想的な城のシルエットには、誰もが目を見張ることでしょう。ノルマンディー地方を訪れたら、もちろんモン・サン・ミッシェルを訪れないわけにはいきません。しかし、満潮の時には孤島となるモン・サン・ミッシェルへはどうやって行けばよいのでしょうか?家族連れなら、駐車場から無料のシャトルに乗れば、入り口から400mのところまで連れて行ってくれます。
でも、モン・サン・ミッシェルの素晴らしいパノラマを眺めたいなら、長い歩道橋を歩くことをお勧めします。島に到着後は、中世の幕壁と露店の間の急な階段を登れば、モン・サン・ミッシェルの中でも最も美しい修道院にたどり着きます。13世紀にわたる歴史を持つ西洋キリスト教世界で最も重要な巡礼地の一つです。巨大な暖炉がある迎賓の間、写字室、食堂、そして何より忘れてはならないのが、中庭を囲む回廊とそこから望む湾の素晴らしい眺めです。
印象派の生まれ故郷
クロード・モネの足跡をたどらずにノルマンディー地方を見て回ることは不可能です。印象派を代表する画家のモネは、1868年の冬をエトルタで過ごし、その後何度もエトルタを訪れました。目もくらむ白亜の断崖絶壁の風景と移り変わる光は、当時現実の素材を描くことに熱中していた画家にインスピレーションを与えました。しかし、モネが、印象派の名前の由来ともなった作品『印象、日の出』を描いたのは、ル・アーヴルでのことでした。海に面したル・アーヴルのアンドレ・マルロー近代美術館は印象派の作品を中心に展示する美術館で、オルセー美術館に次いでフランスで二番目に多くのコレクションを擁しています。
ル・アーヴルで少年時代を過ごしたクロード・モネは、長い間、ノルマンディー地方の海岸地帯をあちこち旅した後、1883年に、パリ近郊のウール県のジヴェルニーという小さな村に身を落ち着けました。つまり、ノルマンディー地方とイル・ド・フランス地方という印象派の生まれた二つの地方がこうして一つになったのです。ジヴェルニーでは、クロード・モネ財団が、彼の家と彼が丹精込めて作り上げた庭を、当時の雰囲気のままに保存しています。モネの家の見学後は、ジヴェルニー印象派美術館も訪れましょう。印象派の国際的な広がりにスポットを当てた美術館です。
仕上げには、ディエップ城博物館を訪れましょう。ディエップは、フランスで海水浴ブームが生まれた場所ですが、ピサロやノルマンディー生まれのブーダンといった印象派の画家たちが作品に描いている場所です。
ノルマンディー地方のチーズ
ノルマンディー地方のチーズが美味しいのは、良質の牛乳で知られるノルマン種の牛のおかげです。カマンベール村で作られるカマンベールチーズに代表されるノルマンディー地方のチーズの特徴は、香りです。ナポレオン三世が好んだことから有名になり、その後変わらぬ人気を博しています。ノルマンディー地方のチーズのすべてをお教えしましょう。